1993 Fiscal Year Annual Research Report
PIアンカー型補体制御蛋白の癌化に伴う欠失の機序についての研究
Project/Area Number |
05671933
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
畑中 道代 大阪医科大学, 医学部, 助手 (50218484)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 章 大阪医科大学, 医学部, 教授 (00028581)
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Keywords | DAF / CD59 / 補体制御因子 / GPIアンカー / ヒト白血病培養細胞株 / PNH / mRNA / 癌化 |
Research Abstract |
癌化に伴い細胞膜上の蛋白,糖脂質などの性質,発現量が変化するが,補体の活性化を調節する補体制御因子についても癌化に伴う変化が認められている.申請者らは、補体制御因子のうちPIアンカー型蛋白であるDAF,CD59がある種のヒト培養細胞株で選択的に欠損することを明らかにしてきた.本研究ではこの欠損のメカニズムを明らかにすることを目的としている. 5年度は,DAF,CD59の発現レベルをヒト白血病培養細胞株でさらに広範囲に検索し,DAF単独欠損株(CEM),CD59単独欠損株(U937),DAF,CD59両欠損株(Ramos(+),TALL)の4種の欠損株を得た.これらがどのレベルで発現の調節を受けているのかを明らかにするためにNorthern hybridizationによりmRNAの発現レベルを検討した.コントロールの非欠損株でDAF probeは2.6,2.0Kbpのバンドを検出したがCEM,TALLではバンドは認められなかった.CD59 probeは非欠損株では2.2,1.7,1.1Kbpのバンドを検出したが欠損株のU937,TALLでは認められなかった.一方,Ramos(-)では両蛋白が欠損しているのに係わらず,DAF,CD59のmRNAは正常に発現していた.mRNAの発現の有無はRT-PCRによる検討でも各細胞株で同様であった.これらの結果は,白血病細胞株ではDAF,CD59欠損のメカニズムは多様であることを示している.発作性夜間血色素尿症(PNH)では個々の患者によらず,全ての症例でGPIアンカーの合成に関与するPIG-Aといわれる因子に異常が認められるのとは対照的である.Ramos(-)ではmRNAが検出されたためPNHと同様GPIアンカーの合成の異常である可能性が高い.他の欠損株ではDAF,あるいはCD59の蛋白部転写以前に変異があることが明かとなった.
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[Publications] 畑中 道代: "Implication of membrane factors other than DAF and CD59 in complement-mediated lysis of paroxismal noctumal hemoglobinuria erythrocytes." Clinical Immunology and Immunopathology. 69. 52-59 (1993)
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[Publications] 宮川 周士: "Test for ability of dercay-accelerating factor (DAF,CD55) and CD59 to alleviate complement-mediated damage of xeno-erythrocytes" Scand.J.Immunol.38. 37-44 (1993)
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[Publications] 瀬谷 司: "Acute promyelocytic leukemia with CD59 deficiency" Leukemia Research. 17. 895-896 (1993)
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[Publications] 原 とも子: "A monoclonal antibody against human decay-accelerating factor (DAF,CD59),D17,which lacks reactivity with semen-DAF." Immunology Letters. 37. 145-152 (1993)