1994 Fiscal Year Annual Research Report
血小板依存性癌細胞傷害反応における細胞傷害因子と細胞接着因子に関する研究
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05671936
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Research Institution | Ehime College of Health Science |
Principal Investigator |
岡田 真理子 愛媛県立医療技術短期大学, 臨床検査学科, 助教授 (60111118)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫃本 泰雄 愛知大学, 医学部, 助手 (90136333)
富永 彬生 愛媛県立医療技術短期大学, 臨床検査学科, 助教授 (90036450)
佐川 輝高 愛媛県立医療技術短期大学, 臨床検査学科, 助手 (90162320)
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Keywords | 血小板 / K562細胞 / LU99A細胞 / 細胞傷害因子 / シクロオキシゲナーゼ阻害剤 / トロンボキサンA_2 / 一酸化窒素、合成阻害剤 |
Research Abstract |
平成6年度は血小板の標的細胞としてK562とLU99Aの2種類の腫瘍細胞株を用いて細胞傷害因子についての解析を進めた。先に報告したとうり、シクロオキシゲナーゼ阻害剤であるアセチルサリチル酸(ASA)が血小板のK562細胞に対する細胞傷害活性を阻害したことと、血小板シクロオキシゲナーゼ経路の主な産物であるTXA2の合成アナログが直接K562細胞傷害活性を示したことから、癌細胞傷害エフェクター因子としてシクロオキシゲナーゼ産物、とくにTXA2が重要な働きをしているのではないかと考えられた。ところが、ASAは同じ条件下で血小板のLU99A細胞に対する細胞傷害活性は阻害しないことが今回明かとなった。さらに種々のTXA2アナログを用いてそれらのLU99A細胞傷害活性を詳細に調べたところ、LU99AはTXA2アナログに対する感受性がK562に比べてはるかに低いことが分かった。これら結果から、血小板依存生腫瘍細胞傷害反応には、シクロオキシゲナーゼ依存性の経路とシクロオキシゲナーゼ非依存性の経路が存在することが示唆され、標的細胞によって異なった経路が働いて細胞傷害を起している可能性のあることが示された。実際、K562は血小板よりのTXB2産生を増強させたが、LU99Aにはそのような作用が認められなかった。 一方、一酸化窒素(NO)合成阻害剤であるN-nitro-L-arginineは先に報告したとうり、血小板のK562細胞傷害活性は阻害しなかったがLU99A細胞傷害活性は阻害した。また、NO消去剤であるオキシヘモグロビンも血小板のLU99Aに対する細胞傷害活性のみ阻害し、K562細胞傷害活性には影響を与えなかった。この結果から、上述のシクロオキシゲナーゼ非依存性の経路にNO合成経路が関与していることが示唆されたが、NO産生物質であるニトロプルシッドNaにはLU99Aを直接傷害する活性は認められなかったことから、NO分子そのものがLU99A細胞傷害エフェクター因子とは考えられなかった。NO合成経路の関与についてはさらに検討を要する課題である。
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Research Products
(2 results)