1994 Fiscal Year Annual Research Report
貧血などの患者に対する安静度決定のための基礎的研究
Project/Area Number |
05671943
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
城戸 良弘 大阪大学, 医学部, 助教授 (20116023)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 裕子 大阪大学, 医学部, 助手
大谷 英子 大阪大学, 医学部, 助手 (70213759)
松木 光子 大阪大学, 医学部, 教授 (40093463)
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Keywords | 貧血 / 活動耐性低下 / 安静度 / エルゴメータ / 心拍数 / 間接熱量測定 / 呼気ガス分析 / エネルギー消費量 |
Research Abstract |
今年度は、貧血患者の安静度を決定する基準を作成する目的で、以下の検討を行った。健常者、貧血を示すが活動耐性低下のない学生を対象に、入浴動作、およびシャワー浴、歩行、階段昇降の具体的な日常生活動作における各動作のエネルギー消費量をHRから推定した。その結果、心拍数の大きく増加する動作は、入浴中や洗髪などの動作よりも入浴後のふきとりおよび着衣動作、階段歩行の動作であることが明らかになった。さらに、昨年度、心拍数とエネルギー消費量の間には、直線関係にあることが明らかになったが、この関係は、有酸素運動時に限られる。運動負荷をある一定以上にかけると有酸素運動から無酸素運動に移行すると言われている。この無酸素運動への移行は、体に乳酸が蓄積していくことを示し、持続して運動を継続できなくなることになる。したがって、この無酸素運動への移行時点(ATポイント)を一つの運動指標として用いるため、エルゴメータによって個人個人のATポイントを測定した。その結果、ATポイントは個人差の大きいことがわかり、また上記の2つの動作はATポイントを越えている学生が多かった。さらに、貧血である学生のATポイントをみると、貧血でない学生のATポイントよりも低いことが明らかになった。これらの結果から、貧血患者においてどのような動作が心拍数の増加に関係するか、および貧血患者のATポイントの測定を現在検討中である。 以上今年度に得られた実績をまとめると、健常者群と貧血を示す学生群の個人では、入浴動作においては、入浴後のふきとりや着衣時のエネルギー消費量が大きいことが明らかとなった。また、乳酸の蓄積するATポイントをひとつの運動動作指標として測定したが、このポイントは個人差が大きいこともわかった。さらに貧血を有する学生においては、このATポイントが貧血でない学生より低いことが示唆された。今後貧血患者群の症例において検討を重ねる予定である。
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