1993 Fiscal Year Annual Research Report
基本的看護ケアーの基礎的研究-安静仰臥位洗髪時の生体負担について-
Project/Area Number |
05671946
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
井上 範江 熊本大学, 教育学部, 助教授 (80040062)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 まり子 熊本大学, 教育学部, 助手 (10136707)
|
Keywords | 安静仰臥位洗髪 / 生体負担 / 快適性 |
Research Abstract |
身体の清潔は患者に快適性をもたらすところの援助行為であるが、患者の状態によっては生体負担となりうる。そこで、本研究は安静仰臥位でケリーパードを用いた洗髪時の基礎的データを作る目的で、平均年齢20.5±1.1歳の健康な女子10名を対象に、9月末から10月下旬の間に、41.4〜41.8℃の湯を用いて、比較的少ない湯量すなわち小ピッチャー4杯の場合と2杯の場合の2つの条件で洗髪を同一被験者に実施し、代謝量、皮膚温および心拍数の変化から生体負担をみるとともに、快適性という観点から洗髪終了後に被験者の感じ方についての聞き取りを行った。なお、全ての被験者に対し、実験の流れや洗髪の手順・方法を一定にした。以下に測定結果を記す。 1.代謝量はダグラスバッグ法による呼気採取後のガス分析により算出した結果、2杯および4杯いずれも洗髪前の安静仰臥位時に比べ洗髪終了直後に有意に代謝量の増加がみられた。2杯と4杯の比較では統計的有意差はないが、2杯の方が増加量が大きかった。 2.連続的に測定した心拍数と8部位の皮膚温は、洗髪中の変化の中でも特に湯の影響がみられ、心拍数平均値は2杯、4杯ともに湯のかけ始めで減少し始め、すすぎ始めで最も少なくなり、その後安静時の状態に回復した。皮膚温は湯の影響を受けやすい左右の肩と額で洗髪中に上昇が著しく、洗髪終了後は逆に末梢の上昇が大きくなった。また、2杯の皮膚温に比べ4杯の方が一旦上昇した皮膚温が低下しにくい傾向にあった。 3.湯量が少ないにもかかわらず2杯と4杯の測定終了後にいずれの被験者も快適感を訴えていた。湯量が異なることを指摘したのは看護専攻の4年生一人のみで、2名が洗髪時間の違いを指摘し、他の7名は違いに全く気づかなかった。
|