1994 Fiscal Year Annual Research Report
冷凍パン生地における酵母の冷凍耐性機構に関する研究
Project/Area Number |
05680021
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Research Institution | Nara Women's University for Scientfic Research |
Principal Investigator |
河合 弘康 奈良女子大学, 生活環境学部, 教授 (80026525)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横井川 久己男 奈良女子大学, 生活環境学部, 助教授 (60230637)
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Keywords | 冷凍耐性酵母 / 冷凍感受性酵母 / 冷凍耐性機構 / Torulaspora delbrueckii / パン酵母 / 冷凍生地 |
Research Abstract |
われわれが見出した冷凍耐性酵母T.delbrueckii D2-4から冷凍感受性変異株60B3を取得し、それらの脂質組成の特徴を比較することによって酵母の冷凍耐性機構を解明することを目的として研究を行った。酵母のフロトプラストから抽出した脂質成分を薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー-質量分析計等で詳細に分析した結果、両菌株の脂質構成脂肪酸組成にはほとんど差異はなかったが、総リン脂質および中性脂質含量に明かな差異があること、また、細胞膜主要成分であるステロールとリン脂質の比率ならびにphosphatidylethanolamine含量に差異が認められた。これらの結果から、酵母の冷凍耐性は、その細胞膜構成成分であるリン脂質とステロール含量ならびに構成リン脂質成分の違いによって影響を受けると推定した。一方、酵母の細胞内貯蔵物質である二糖類トレハロース含量と冷凍耐性との関連を調べた結果、冷凍耐性株D2-4は感受性株60B3に比べトレハロース含量が常に高く、培養条件の変化に対応して菌体内トレハロースと冷凍耐性が変動することから、菌体内トレハロース含量の違いが酵母の冷凍耐性に反映していることを明らかにした。また、市販圧搾パン酵母のパン生地中での冷凍耐性と菌体内トレハロース含量との間には明確な相関が認められなかったが、培養酵母の液内凍結による生存率は、菌体内トレハロース含量によく対応し、冷凍耐性酵母におけるトレハロースの役割を明らにした。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 河合弘康: "パン酵母の冷凍障害と冷凍耐性酵母" 化学と生物. 31. 374-381 (1993)
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[Publications] YOKO MURAKAMI: "Induction of Freeze-sensitive Mutants from a Freeze-tolerant yeast,Torulaspora delbrueckii" Biosci.Biotech.Biochem.58. 206-207 (1994)
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[Publications] YOKO MURAKAMI: "Lipid composition of a Freeze-tobrant yeast,Torulaspora delbrueckii" Appl.Microbiol.Biotechnol.(未定). (1995)