Research Abstract |
第1分担課題「ほうれん草の調理と成分の分析について」1.分析値(mg/100g)はMg76,Ca67,Fe2.0,Zn0.9,総シュウ酸(Ox)843,水溶性Ox459,水不溶性Ox384,NDF748,ADF636,セルロース532,ヘミセルロース112,ペクチン307であった。2.水可溶性ミネラルの割合はMg68,Ca14,Fe34,Zn13%で、Caの67%はOxではなく食物繊維と結合し、不溶性であった。3.10倍量の水または1%食塩水でゆでた時のミネラルの溶出率は、水でMg77,Ca4.5,Fe40,Zn41%,食塩水でCa,Fe,Znに水と差はないが、Mgが10%減少した。4.5または10倍量の水で1,2,3,4分間ゆでた時の溶出率は、Mg40〜84,Ca2〜3,Fe26〜51,Zn23〜49,Ox40〜82%であった。5.In vitroでのpH1〜12におけるMgとCaのOxによる不溶化率は、生理的pHでMg約20,Ca約80%で、ともにpHの上昇により増大し、Caのその割合はMgより3〜5倍高かった。以上の結果から、MgのOxによる不溶化率は低く、ほうれん草は質の高いMgの給源となり得ることが示唆された。また、その質は、短時間ゆでてOxを除去することによってさらに高まるものと考えられた。 第2分担課題「Mgの利用性の検討」 Mg欠乏ラットにMg源として生、ゆで、炒めのほうれん草添加、Mg含有飼料に生ほうれん草と同量のOx添加、Mg含有とMg欠乏の6種の飼料をPair feedingで与えた。1.Mgの吸収率は生80,ゆで88,炒め92,Ox添加90,Mg含有98%であった。2.Caの吸収率は生58,ゆで68,炒め66,Ox添加54,Mg含有83,Mg欠乏84%であった。3.血清中のMg量は、Mg欠乏で著しく低かったが、他で差を認めなかった。Ca量は全群間で差がなかった。4.骨の破断力と乾燥重量は、骨中のCaとMgの両値が低いMg欠乏とOx添加で他群より低値を示した。以上の結果から、ほうれん草中のMgの吸収率は極めて高く、Oxを除去するとさらに高くなった。
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