1993 Fiscal Year Annual Research Report
フィチン酸ナトリウム投与とZn欠乏がラット小腸粘膜フィターゼ活性に及ぼす影響
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05680046
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Research Institution | Tachikawa College of Tokyo |
Principal Investigator |
篠田 粧子 東京都立立川短期大学, 食物栄養学科, 助教授 (40132055)
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Keywords | フィチン酸 / ラット / 小腸 / フィターゼ / Zn欠乏 |
Research Abstract |
ラット小腸粘膜のフィターゼ活性は基質であるフィチン酸の投与によって、適応が起こらず、逆にその活性が低下する(Shinoda&Yoshida、1990)。この原因の1つとして、フィチン酸の吸収阻害作用を受け易い亜鉛が欠乏し(事実、骨中亜鉛含有量の低下が見られる。Shinoda&Yoshida、1989)、二次的に、亜鉛を必要とする酵素の活性が低下するのではないかと考え、フィチン酸投与による小腸のフィターゼ活性低下と生体内の亜鉛欠乏状態の関係について調べた。 成長中ラットに、フィチン酸ナトリウム添加飼料(1%および2%)、またはフィチン酸無添加の亜鉛欠乏飼料(飼料中亜鉛含有量3mug/kg)を3週間投与した。ラットは解剖時に右大腿骨を取り出し、体内亜鉛の栄養状態の指標として、骨中亜鉛含有量について調べたところ、1%および2%のフィチン酸添加飼料、亜鉛欠乏飼料共に、骨中亜鉛の有意な低下が確認された。さらに、これらラットの小腸上部(1/3)から上皮粘膜を採取し、ホモジネートを調製した。小腸粘膜のフィターゼ活性は、これまでに著者らが確認した結果と同様に、フィチン酸添加飼料を投与したラットで低下した。本研究の一つの目的は、このフィチン酸投与によるフィターゼ活性の低下が亜鉛欠乏の二次的結果か否かを検討することにある。しかし、亜鉛欠乏飼料を投与したラットでは、フィターゼ活性の低下は認められなかった。そこで、粘膜ホモジネート中の亜鉛含有量を測定し、小腸粘膜での亜鉛の栄養状態について調べている。さらに、アルカリフォスファターゼ活性について検討し、フィターゼ活性との相関について検討を加える予定である。
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