1993 Fiscal Year Annual Research Report
成人女子の寒冷下体温調節反応と持久的体力に影響する諸因子の解明
Project/Area Number |
05680067
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
森谷 〓 北海道大学, 教育学部, 教授 (40000939)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 功哉 北海道大学, 教育学部, 教授 (50001798)
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Keywords | 寒冷体温調節反応 / 寒冷血管反応 / 最大酸素摂取量 / 性周期 / 成人女子 / 体脂肪率 |
Research Abstract |
平成5年度は、基本的に本年度研究実施計画に基づいて実験研究を行った。その概略を以下に記す。19歳〜22歳の女子(運動を習慣化していない者と、スポーツ競技者の2グループ)各6名の協力を得て、基礎体温の測定(舌下温)を7月末から毎朝行ってもらい、4週間ていどを周期とする規則的な低温相と高温相が現れた全被験者について、各期のほぼ中間にあたる日を実験日とし、9月末から11月に以下の測定を行った。(1)体脂肪率 (2)血液の採取(血中プロゲステロン、エストロゲン、LH,FSH濃度) (3)末梢耐寒能を寒冷血管反応(CIVD)によって全被験者で測定 (4)5℃全身寒冷気曝露中の体温(鼓膜温)と体温調節反応(熱産生量・ふるえ・皮膚温・心拍数など)を2名の被験者について測定 (5)VO2maxを自転車エルゴメータを用いた漸増負荷法で測定。測定は、各被験者について性周期の卵胞期と黄体期に各1回、計2回行った。血中性ホルモン濃度測定値から、性周期の卵胞期と黄体期のホルモン環境とみなされた10名(2名を除外)について、測定値を性周期の各相で検討した。その結果、性周期の卵胞期と黄体期で、CIVD、VO2maxに違いのあることが示唆された。CIVDの変動は、被験者全員でおなじではなく、卵胞期に高い値を示した被験者5名と黄体期に高い値を示した5名に分かれた。VO2maxでは卵胞期に高い値を示した被験者4名と黄体期に高い値を示した6名に分かれた。全身寒冷気曝露実験の被験者は2名とも、卵胞期より黄体期にCIVD、VO2maxの高いタイプの被験者であったが、曝露中の体温(鼓膜温)と体温調節反応をみると、性周期の卵胞期にくらべ黄体期の平均皮膚温は高く保たれ、熱産生量は大きく、しかし指尖部皮膚温は低く保たれる傾向が示され、黄体期には末梢皮膚温を低く保ちながら核心温度を高く保つ寒冷血管反応が働くものと考えられる。卵胞期に黄体期よりCIVD、VO2maxの高いタイプの被験者で、全身寒冷曝露実験は未だできていないので、今後検討する予定である。また体脂肪率は青年男子と同様に、VO2maxとの間に有意な負の相関を示した。 今後も当初の研究計画に沿って、実験計画を進める予定である。
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