1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05680083
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
稲村 欣作 静岡大学, 教養部, 教授 (80022119)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
間野 忠明 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (30023659)
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Keywords | 起立性低血圧防止法 / 長時間静止立位 / 体液量変動1分波 / 筋ポンプ作用 / 静脈還流 / 心拍出量 |
Research Abstract |
本研究の目的は、著者らが見出した体液量変動1分波の血液貯留補償作用を腹部の随意的筋収縮により強化して、長時間静止立位における起立性低血圧防止法を開発することとした。健康な男子学生17名に、(A)なるべく動かないようにして静止直立姿勢を保つ、(B)直立時に起こるゆっくりとした体の揺れに合せ、重心が後にきた時に下腹部の筋群を随意的に約10〜20秒間収縮させる、(C)同様に重心が後にきた時に、中腹部の筋群を随意的に収縮させるの3条件で、30分間の直立姿勢を保たせた。その間に、ラバーストレンゲージプレチスモグラム法による体液量変動(身体測定部位、14カ所)、表面誘導による下肢と腹部及び腰部の筋放電、フィナプレスによる心臓レベルでの末梢血圧、インピーダンスプレチスモグラム法による心拍出量と心拍数の測定を行った。条件(A)では、3名が起立性低血圧症状を引き起こし実験を中止したが、その3名に同意を得て条件(B)を実施したところ、30分間の直立保持をすることができた。条件(B)の方法は効果があるものと思われる。条件(C)は、筋収縮実施が難しいことと、効果がそれほど見られなかったので、7名の実験で終了した。効果の判定基準は条件(A)とした。その結果、条件(B)の一回心拍出量と心拍出量が増加して効果ありと判定されたものは9名であった。その増加量は一回拍出量が条件(A)の7.2%、心拍出量が6.2%であった。統計的には有意差が得られないわずかな増加量ではあるが、起立性低血圧防止に役立つものと思われる。効果の見られなかった被験者の多くは、筋収縮のタイミングが体液量1分波と合わなかったためと思われる。次年度では、下肢と腹部の筋群の随意的収縮を組合わせて検討する予定である。今回の結果は、後日、詳細に分析して公表する予定である。
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