1995 Fiscal Year Annual Research Report
高血圧症の親をもつ子供ともたない子供にみられる運動中の循環応答の相違
Project/Area Number |
05680087
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
定本 朋子 奈良女子大学, 文学部, 助教授 (30201528)
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Keywords | 高血圧症 / 親 / 子供 / 静的運動 / 動脈血圧 / 総末梢血管抵抗 |
Research Abstract |
高血圧症の親をもつ子どもと持たない子供における静的脚力発揮中にみられる循環応答の相違について検討した。18-24歳における健康な女子大学生に、アンケート調査により、親(父、母のどちらかあるいはどちらも)が本態性高血圧症であり、本人自身は健康であり循環器を含め他の既往歴のない被験者20名と年齢・身長・体重の等しい被験者20名を選んだ。それぞれの被験者群を高血圧症の親を持つ高血圧(H)群と持たない対照(C)群とした。両群における被験者の座位安静時動脈血圧、推定体脂肪率、随意最大握力(MVC)には、相違はなかった。30%MVCの負荷による静的膝関節伸展力の発揮中における、平均動脈血圧(MAP)、心拍出量(CO)、心拍数(HR)、前腕血流量(FBF)、前腕皮膚血流(SkFBF)を計測した。その結果、H群とN群におけるMAPの上昇に相違はみられないが、H群ではN群にない総末梢血管抵抗(TPR)の上昇が示された。このようなH群におけるTPRの上昇は、皮膚組織、骨格筋における血管抵抗の変化(SkFBFとFBF)からは説明できなかった。このため、運動によって、また圧受容器反射の標的器官となる腹部内臓の血管抵抗にH群とN群の相違があると推察された。つまり、H群では、N群にみられない血管収縮が起こり、それがTPRを増大させ、ひいてはMAPの上昇をもたらせたと考えられた。
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