1994 Fiscal Year Annual Research Report
リズム運動の心身への影響について-舞踊・運動療法の基礎資料のために-
Project/Area Number |
05680088
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Research Institution | NERA WOMEN'S UNIVERSITY |
Principal Investigator |
平井 タカネ 奈良女子大学, 文学部, 教授 (30107346)
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Keywords | 表現運動 / 舞踊・運動療法 / ボディワーク / 心拍数 / 呼吸数 / 脳波 / イメージ |
Research Abstract |
平成6年度は第2年目で最終年度であるため、1年目の実験や調査の結果をまとめると同時に次の実験を試みた。1)リズミカルな音楽に伴う自由テンポの足踏み動作時の動作特性及び生理心理的変化について、2)遅い速度の動作遂行時の生理心理的変化及び動作特性について、3)ボデイワークに伴う生理心理的変化、4)舞踊・運動療法における診断と評価表作成の試みである。実験1)より同じ速度(MM126)の極であっても、女子中学生、女子大学生ともに3拍子の音楽において呼吸数は増大傾向を示し、踏み動作の観察及び被検者へのアンケートの結果から3拍子のリズムに対する馴染みにくさ、動作のぎこちなさはともに顕著であった。 次に、精神障害者の運動リズム活動の中で、太極拳をアレンジした一連の運動が好評であった経験から、中学生と大学生を対象にゆっくりした動作(腕回し、からだを揺らす)を課題とした実験を行った。いずれにおいても安静時やpreferred tempoで動作を行った場合よりも心拍数・呼吸数・GSRは増大する傾向が見られ、遅い動作では必ずしもリラックス感や心地良さが感じられているとは言えないようである。年齢や運動への慣れなど、今後の課題であると思われる。 ボデイワーク(背中を揺する、軽く叩く)など背中にふれる4種類のワークの影響については、心拍数・呼吸数などの自律神経活動が抑制され、状態不安は低下する傾向が認められた。脳波はワークによって速波化、徐波化傾向の相違が見られた。ダンスやリズム運動前後に描いたボデイ・イメージ(精神病患者を対象)では、リズムやダンスの回数に伴い顔の表情が描かれるようになった。特に瞳が描かれるようになると軽快への進行が推測された。樹木画-バウムテスト(女子大学生対象)では、ダンスの後の樹木の方が幹や枝が大きく、気分が伸びやかになっていることが認められた。 最後に舞踊・運動療法の診断と評価表の作成を試みた。
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[Publications] 平井タカネ: "ダンスセラピーに伴う患者の意識変化" 体育の科学. 44. 350-353 (1994)
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[Publications] 平井タカネ監修訳: "ダンスセラピー-グループセッションのダイナミクス" 創元社, 193 (1994)