Research Abstract |
本研究ではヒトにおける退行期骨粗鬆症の発生防止に対する運動トレーニングの至適年齢を明らかにするために,雌マウスを成長期(A群),成熟期(B群),老齢期(C群),生涯運動群(D群),対照群(E群)の5群に分類し,それぞれ運動トレーニングを実施させ,どの年齢での運動トレーニングが老齢期の骨密度を高水準に維持することができるかを判定評価するとともに骨密度やカルシウム代謝との関連性についても検討した. その結果,70週齢時におけるB群の体重はA,D,E群よりも有意に高値を示した.大腿骨重量,大腿骨長はいずれの群においても差異が認められなかった.骨密度においては,E群が他の4群よりも有意に低値を示した.骨皮質幅比におけるC,E群は他の3群よりも低い傾向にあった.骨の力学的特性についてみるとE群の最大負荷はA,B,D群よりも有意に低値を示し,D群はA群よりも低値を示した.最大応力においては,E群はA,B,D群よりも有意に低値を示した.変形量においてはD群がA群よりも有意に高値を示した.弾性係数においては,E群は他の群よりも低値を示し,A,D群との間に有意差を認めた.カルシウム代謝においては,C-PTH,CT,Caはいずれの群間にも差異が認められない.PはE群が他の群よりも低い傾向が認められた.以上の結果から,どの時期の運動においても老齢期における骨脆弱化の予防効果のあることが認められ,その効果は老齢時運動群で他の群よりも低い傾向にあった.しかし,老齢時運動群の変形量は他の運動群よりも高値を示すことから,骨に及ぼす効果は他の時期の運動群と異なる可能性が考えられる.また,A,B群の体重は高値であることから体重の影響が加味された可能性も考えられる.
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