1993 Fiscal Year Annual Research Report
運動中突然死の発生機序としての心臓疲労に関する研究
Project/Area Number |
05680109
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
武者 春樹 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教授 (10182073)
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Keywords | 心臓疲労 / 心筋障害 / トロポニンT |
Research Abstract |
過激な運動の心臓に対する影響をサロマ湖100kmマラソン参加者を対象検討した。心臓超音波検査により、マラソン前後において収縮能の低下を認め特にハンドグリップ負荷に対する反応性の低下をマラソン後に認め、翌日には復することを明らかにした。次いで、血液・生化学検査の酵素変動を検討した心筋逸脱酵素(ミオグロビン、CPK、CPK-MB、ミオシン軽鎖、トロポンT)は、マラソン直後で上昇し、CPKは翌日さらに増加を認めた。心筋特性の高いトロポニンTは、マラソン前では全例正常範囲であったが、マラソン後では、42例中20例(48%)に異常高値を認め、最高は正常値の13倍達した。骨格筋と交差するトロポニンT以外の酵素は、マラソン直後には全例昇するのに対し、トロポニンTは約半数の者にしか上昇を認めなかったことはトロポニンTの出現は、骨格筋からの酵素逸脱とは別の機転ないしは臓器が考られ、特異性が高いことから、心筋由来と考えた。従来、過激な運動後の心機低下は、短時間で回復することから心臓疲労との考えも提唱されているが、本究からは、過激な運動による軽度の心筋障害が発生し、それに伴って一過性の機能が低下することが示唆された。
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