1993 Fiscal Year Annual Research Report
農業地域形成における都市-農村の水平的結合に関する地理学的研究
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05680134
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
菊地 俊夫 東京都立大学, 理学部, 助教授 (50169827)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田林 明 筑波大学, 地球科学系, 助教授 (70092525)
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Keywords | 農業地域形成 / 都市-農村の水平的な地域結合 / 土地を媒体とする交流 / 農産物を媒体とする交流 / 大都市 / 大都市近郊 / 大都市近郊外縁部 / 大都市遠郊 |
Research Abstract |
農業の商品化や地域形成において、都市市場や大都市消費地との関係が重要であることは従来から多くの研究によって指摘されてきた。しかし、従来の農業地域形成において関する研究では、地域に内在する諸条件とそれらの相互作用関係に重点がおかれ、地域外に存在する諸条件についての分析は十分でなかった。農業地域形成における地域外の諸条件のなかでは、消費地と(都市)と生産地(農村)との直接的な地域結合が注目されており、それは都市-農村の水平的な地域結合として本研究の主要な対象になった。 本研究では都市-農村の水平的な地域結合を土地を媒体とする交流と物(農産物)を媒体とする交流とに類型化した。土地を媒体とする交流は、都市住民が農村の土地を借り受けて、農業生産と農村生活を余暇活動として楽しむもので、市民農園や体験農場などが事例としてあげられる。農産物を媒体とする交流はいわゆる産地直送販売であり、直販所や朝市、あるいは契約栽培や「ふるさと直送便」などが事例としてあげられる。これらの類型の空間的な配置をを関東地方についてみると、大都市から大都市近郊にかけては両者の混合型が、大都市近郊から近郊外縁部にかけては土地を媒体とする交流が、さらに大都市近郊外縁部から遠郊にかけては農産物を媒体とする交流が主体になっていた。 以上に述べた都市-農村の水平的な地域結合の実態を農業地域形成に関連させて考察するため、菊地は関東地方における畑作の土地利用を大都市の影響を考慮して検討し、併せて大都市遠郊の酪農地域形成と後背農村の高齢者農業を検討した。田林は大都市遠郊農村の事例を黒部川扇状地にもとめ、そこでのチューリップ球根栽培の地域形成や持続的農業の展開を考察した。さらに、それらと比較する意味で、大都市近郊外縁部の稲作や農業も検討されている。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 菊地俊夫: "日本における耕地利用変化とその地域的性格、関東地方における畑地利用の場合" 季刊地理学. 45. 13-29 (1993)
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[Publications] Toshio KIKUCHI: "The Base of Development of Viable Dairy Farming in Remote Area of Tokyo Metropolis,A case of the Northem Volcanic Slotes of Mt.Asma" Geographical Reports of Tokyo Metropolitan University. 28. 1-31 (1993)
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[Publications] 菊地俊夫: "後背農村空間における農業の地域的展開,赤城山東麓黒保根村の場合" 西垣晴次編「宗教史・地方史論纂」(刀水書房). 817-839 (1994)
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[Publications] 田林明・林秀司・吉村忠春・中村康子・松井圭介・三木一彦: "茨城県八郷町真家地区における生活形態の変容" 地域調査報告. 16. 71-102 (1994)
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[Publications] 田林 明: "黒部川扇状地における持続的農村の生活組織" 人文地理学研究. 18. 243-273 (1994)
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[Publications] 田林 明: "黒部川扇状地におけるチューリップ球根栽培の変化" 地理学評論(ser.A). 67(印刷中). (1994)
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[Publications] 梅沢重昭・山内秀夫・菊地俊夫他編: "群馬風土記" 旺文社, 534 (1993)
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[Publications] 藤田佳久・菊地俊夫・西野寿章編: "人間環境と風土-農村風土の構造と変容" 大明堂, 235 (1994)