1994 Fiscal Year Annual Research Report
科学概念に関するミスコンセプションの概念変換を支援する構成主義的教授モデルの開発
Project/Area Number |
05680158
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Research Institution | National Institute of Multimedia Education |
Principal Investigator |
片平 克弘 放送教育開発センター, 研究開発部, 助教授 (70214327)
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Keywords | 科学概念 / ミスコンセプション / 概念変換 / 構成主義 / 教授モデル / 学習モデル / 電流概念 / 水蒸気の概念 |
Research Abstract |
第2年次は,本研究の基礎的研究として,子どもの理解研究に寄与できる研究方法論に関する文献(Probing Understanding)を数名の若手研究者と共に翻訳し,「子どもの学びを探る」という表題の訳書として出版した。翻訳作業と並行して,本年度は,子ども達の理解の本質,及びそれぞれの調査方法の妥当性や信頼性についても吟味した。特に,子ども達の理解を探る方法論としては,「概念地図法」「事例面接法」「事象面接法」「描画法」「関連図法」「単語連想法」等について検討した。また,初年次から引き続き子どもの理解についての実態調査を行った。「電流概念」に関しては,簡単な電気回路の中で,電流消費的な考え方や電流二方向的な考え方が、電流を学習した中学生にもかなり見られること,かつ,小学校から中学校にかけてもそのような考え方は大きく減少しないことが明らかになった。「水蒸気の概念」に関しては,「沸騰している水の中から出てくる泡は空気の泡だ」と考える小学生が,水蒸気の学習をした後でも50%〜60%存在することが明らかになった。これらは,諸外国の研究成果と同様の傾向を示している。 また「子供たちの自然認識については,子供なりの合理的な体系があり,それ自体で一貫性を有している」,「子ども達が理科授業の中に持ち込む知識や信念の構造は,与えられた状況の中で構成する意味に影響を与えている」ことが実態調査から確認できた。しかし,2年次は子ども達の理解を探るための研究方法論の検討や実態調査に力点をおいたために,子ども達の合理的な体系や信念を変換させるための有効な授業ストラテジーの検討や子ども達の理解変容の評価法の検討が十分に行なえなかった。最終年度である次年度は、これらの点の検討を中心に研究を進める予定である。
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[Publications] 片平 克弘: "子どものかかわり方と理科の授業-構成主義研究の授業改善への寄与-" 初等理科教育. 28. 58-61 (1994)
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[Publications] 片平 克弘: "教師教育用ビデオ教材の開発・制作-新教育課程の授業シリーズ(小学校理科編)-" 日本理科教育学会年会発表要項. 44. 126- (1994)
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[Publications] 片平 克弘他2名: "質を探る理科授業分析法の構築と応用" 鳴門教育大学研究紀要(教育科学編). 9. 385-397 (1994)
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[Publications] 片平 克弘他1名: "生活科の教師教育用ビデオ教材の開発と評価" 日本科学教育学会年会論文集. 18. 125-126 (1994)
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[Publications] 片平 克弘他2名: "理科教師教育の課題と教師教育プラン" 科学研究費補助金研究成果報告書. 59-88 (1994)
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[Publications] 片平 克弘: "構成主義認知研究と理科教師教育の課題" 放送教育開発センター紀要. 11(印刷中). (1995)
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[Publications] 片平 克弘他7名: "子どもの学びを探る-知の多様な表現を基底にした教室をめざして-(翻訳)" 東洋館, 239 (1995)
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[Publications] 片平 克弘他9名: "新学校教育全集28「学校の教育研究:高等学校における教育研究の事例」" ぎょうせい, 306 (1995)