1993 Fiscal Year Annual Research Report
理数科学習における概念や法則性の発見と検証に関する発達的研究
Project/Area Number |
05680165
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Research Institution | National Institute for Educational Policy Research |
Principal Investigator |
永野 重史 国立教育研究所, 教育指導研究部, 部長 (30000045)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 正明 山形大学教育学部附属, 教育実践研究指導センター, 助教授 (60110095)
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Keywords | 概念発見 / 抽象化 / 理科教育 / 算数教育 / 図形の中心 / 比・割合 / 濃度 / 全体と部分 |
Research Abstract |
理科および算数・数学の学習において、概念の発展がどのようにしておこなわれるかを調査し、「科学的思考や数学的思考とは何か。それを発達させる教育的条件は何か。」という問いに答えることを目的として、次のような調査をおこなった。 1.小学校第3学年算数の「円と球」に関する授業について、教科書類の扱いかたについて調査し、かつ授業の観察をおこなった。その結果、そこでの「中心」の説明が日常語の「まん中」の言い換えとして「中心」という言葉を用いさせるだけで、教師の説明が、直観的ではあるが、概念として洗練されておらず、発展性がない(例えば、正三角形や長方形や正五角形に「中心」があるかどうかの判断ができない)。そこで、「点対称の性質をもつ図形における対称の中心を『中心』と呼ぶ」という一般的な定義にそって「中心」概念を発展させるための各種の事例を与えながら、学習者が概念を発展させていくプロセスを調査した。 2.比や割合に関して、単に計算手続きをおぼえ利用するだけでなく、種々の実際的問題について、比較や傾向の推定などの課題に利用するための概念として洗練されることを目的として、種々の課題を与えたときの知的・感情的反応を調べた。 また、溶液の濃度のように、(AとBとの比較ではなく)AとA+Bとの比較をすることが、部分と全体とを比較項として選ぶことについての心理的抵抗についても調査した。 3.証明の「必要性」に対する感受性を調べる調査を、理科の実験や幾何の論証などを題材としておこなった。
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