1993 Fiscal Year Annual Research Report
教員養成における「日本音楽」教授のための基礎的研究
Project/Area Number |
05680214
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
奥 忍 和歌山大学, 教育学部, 助教授 (70031565)
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Keywords | 日本音楽 / 日本音楽教材 / 音響分析 / 音楽知覚認知実験研究 / conceptual approach / cross-arts approach / 音感覚の西洋化 |
Research Abstract |
1.日本音楽の指導法について日本でこれまでに行われた研究を概観するとともに諸外国,特にアジア地域における自国の音楽の取扱いについて教科書や文献によって検討,日本の現状と比較・考察した. 2.西洋諸国における日本音楽教材とその指導法を教科書や文献により検討・考察した結果,現在優勢なconceptual approachによる学習では日本音楽について誤解を招き易いことが判明した. 3.日本伝統音楽の音楽的要素についてオシログラフによる演奏分析を行った結果,時代とともに西洋化の傾向を示す要素と,反対にその特性が強調される要素とがあることが判明した. 4.デイジタルな音源を用いた実験では,大学生の日本音楽上の基本的語彙・語法に関する理解の程度が判明した. 現代日本人の音感覚を把握した上で日本音楽の特性を教員養成大学の学生に適切に教える方法を探求し,サンプル教材の作成を試みるという本研究の目的の初年度該当分,すなわち調査や実験を中心とする基礎的部分は概ね達成されたといえる.主な知見は具体的には以下の通りである; a.日本および諸外国における教材と指導法に関して文献研究によって概要が把握された. b.日本音楽の特性について音響分析を行い,西洋音楽の受容に伴ってその特性が時間経過とともに変化してきたことが明らかになった. 3.音響分析の結果に基づいた実験の結果と意識調査の結果から,研究計画当初予想されたよりはるかに日本音楽離れが進行していることが判明した. なお,上記cの結果から生じた問題点として,平成6年度計画サンプル教材の作成にはクロス・アーツ的アプローチによる導入部分を含める必要が認められる.
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Research Products
(1 results)