1994 Fiscal Year Annual Research Report
長期集団宿泊活動(自然教室)が児童の心身に及ぼす効果に関する研究
Project/Area Number |
05680216
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
下村 義夫 岡山大学, 教育学部, 助教授 (80095033)
|
Keywords | 児童 / 体験学習 / 調査 / 健康教育 / 自己効力 / 疲労 |
Research Abstract |
自然教室(「自然教室推進事業」)は児童生徒に1週間(5泊6日)程度の集団宿泊活動をさせ、体験学習を通して心身の調和的発達を図ることをねらいとしている。本研究の目的は、自然教室が(1)児童の身体・心理面にどのような影響を及ぼしているかを実証的に解明し、さらに(2)健康教育領域における認識形成や学習能力を高める上でどのように位置づけることができるかを検討し、体験学習をより有効に機能させる指導システムを開発することにある。昨年度の調査において児童の自然教室期間中と平常学校生活との身体状況(疲労、食生活、生活満足感等)に差異が認められたので、本年度も引き続き身体状況(セルフ・ヘルス・チェック、フリッカー値の測定等)について調査するとともに、児童のセルフエフィカシィー等に着目して、自然教室の直前、直後、1カ月後に調査を実施した。 その結果、セルフ・ヘルス・チェック項目において平常学校生活時に比べ自然教室期間中に「良好」と回答する児童の割合が有意に増加した。また、セルフエフィカシィーでは因子得点群ごとに自然教室前後の変化をみたところ自己効力感が低いレベルの児童ほど効力感が向上し、逆に高いレベルの児童では低下を認めた。以上のことから、自然教室の宿泊日数の妥当性や教育的な効果が推察できた。また、児童の身体・心理面に有効な影響を及ぼしていることに注目し、平常学校生活時と自然教室時の生活の違いに気づくような健康教育の指導システムを構想できた。特に、自然教室の生活体験に関連づけた事前事後の指導には可能予期(ある結果を生ずる行動を行えるという確信)と結果予期(ある行動がある結果を導くという推測)を重視する学習理論の導入が有効であることが予測できた。
|
Research Products
(1 results)