1994 Fiscal Year Annual Research Report
算数・数学教育における構成的アプローチによる授業構成論の実証的研究
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05680219
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
中原 忠男 広島大学, 教育学部, 教授 (90034818)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 武志 広島大学, 教育学部, 講師 (60239895)
小山 正孝 広島大学, 教育学部, 講師 (30186837)
岩崎 秀樹 広島大学, 学校教育学部, 助教授 (50116539)
今岡 光範 広島大学, 教育学部, 助教授 (20031817)
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Keywords | 構成的アプローチ / 構成主義 / 授業構成 / 表現体系 / 反省的思考 / 繰り上がりのあるたし算 |
Research Abstract |
本年度の主要な研究成果として、次の諸点を挙げることができる。1〜3は理論的な面、4〜6は実証的な面に関わるものである。 1.今日、構成主義が急進的から社会的構成主義へと展開されつつあることを指摘し、その様相を明らかにするとともに、それを通して構成と協定を相補的に位置付けている構成的アプローチの特徴をより明確化した。 2.構成的アプローチの重要な方法的原理の1つである「反省的思考」について考察し、それが概念の構成とともに、概念理解の進化にも機能していることを明らかにし、さらに2軸過程モデルを提案した。 3.同じく重要な方法的原理の1つである「構成的相互作用」について、PiagetとCobbのいう社会的相互作用を比較検討し、Piagetが初期的概念構成後のそれを重視しているのに対して、Cobbらは初期的概念構成前におけるものも重視していること、などの違いを指摘した。 4.繰り上がりのあるたし算の授業を構成的アプローチによって、構成・実践し、その分析・検討を通して、構成的アプローチによる授業構成の有効性を例証した。 5.たし算の筆算形式の授業を構成主義の立場から、構成・実践し、そのアルゴリズムを子どもたち自身で構成できることを例証した。 6.四角形の相互関係の構成過程の様相を面談調査し、それにより、原型現象が強くみられることと、その対策として、イメージ形成が有効であることを示した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 中原忠男: "数学的概念の認識過程についての基礎研究(XV)-構成主義に立つ算数・数学教育の実践的研究-" 広島大学教育学部学部・附属共同研究体制『研究紀要』. 第22号. 2-11 (1994)
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[Publications] Tadao Nakahara: "Study of the Representational System in Mathematics Education," Hiroshima Journal of Mathematics Education. Vol.2. 1- (1994)
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[Publications] 中原忠男: "数学教育における構成主義の展開-急進的構成主義から社会的構成主義へ-" 日本数学教育学会誌『数学教育』. 第76巻第11号. (1994)
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[Publications] 小山正孝: "高校数学教育における問題解決的教授学習の展開" 『広島大学教育学部紀要』. 第42号第II部. (1994)
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[Publications] 小山正孝: "数学理解の超越的再帰理論に関する一考察" 『広島大学教育学部紀要』. 第43号第II部. (1995)
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[Publications] 山口武志: "数学的概念の形成過程における不整合に関する研究-不整合を視点に取り入れた教授=学習過程に関する一考察-" 日本数学教育学会『第27回数学教育論文発表会論文集』. 第27巻. (1994)