1993 Fiscal Year Annual Research Report
郷土佐賀の自然の中から選択理科の教材を開発する試み
Project/Area Number |
05680226
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
宮脇 博巳 佐賀大学, 教育学部, 助教授 (70190824)
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Keywords | 中学校選択理科 / 郷土の自然の教材化 / 環境教育 / 教材植物 / 照葉樹林 / 博物学 |
Research Abstract |
平成5年度の重点調査地域として,佐賀大学教育学部附属中学校に隣接する佐賀城城内公園の調査を中心とした。佐賀城の石垣にはクサギ,ムシカリ,イタドリなど石垣植生と呼ばれる典型的な種群を形成していた。これらの種群は分類学的には疎遠であるが,強靱な根を持ち,また根からの発芽能力が優れているなど,その生育形は類似して,定期的な人為的な撹乱(石垣の草刈)に対抗できるという共通点を持っていた。また,佐賀市には外来のセイヨウタンポポ,アカミタンポポ,そして日本在来のシロバナタンポポ,カンサイタンポポが高頻度で生育していることを確認した。タンポポ類も人為的な撹乱に生活史を通じて巧みに適応していた。学校周辺でのタンポポ類などの雑草の開花時期・開花回数,受粉様式,種子散布様式,生育形などの生活史の観察は,粘り強く観察を続ければ特別な道具を必要とせず生徒にも観察出来ることがらであり,人の生活の営みと植物のかかわり合いを示す教材開発に適していると判断した。 本年は上記のような身の回りの高等植物標本を採集整理した結果,現在までに822点の教材化例の文献を添えたデータベース化に成功した。さらに,本年度だけで110点ほどの地衣類,蘚苔類標本を作成し,一部発表した(宮脇1994)。また,多数の植生写真,顕微鏡写真を収集した。来年以降これらの標本とデータベースは選択理科の指導案作りに役立つよう配慮したいと考えている。
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Research Products
(1 results)