1994 Fiscal Year Annual Research Report
職業高校における図書教材の開発利用の実態に関する調査研究
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05680236
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Research Institution | Ntional Institute for Educational Research |
Principal Investigator |
名取 一好 国立教育研究所, 教科教育研究部, 室長 (70026623)
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Keywords | 職業高校 / 教科書 / 図書教材 / 自作教材 / 補助教材 |
Research Abstract |
職業高校における教科書を除く図書教材の開発と利用の実態を、各都道府県から抽出した、農業、工業、商業に関する学科をもつ3校、合計423校を対象に質問紙調査を実施し、全体の65%の学校から回答をいただいた。その結果、職業高校における補助図書教材は、その目的により、教科書の用意されていない科目の補完的教材、対応する科目の内容の理解を助ける補助的教材、資格取得を目指す受験用教材、対応する科目の内容を深める深化的教材の4つに分類でき、利用される図書教材の種類には、学科により顕著な特徴が見られた。農業学科では補助的教材が、工業学科では補完的教材と深化的教材が、商業学科では受験用教材が主に利用され、それぞれの学科の特色が認められた。1人当たりの補助図書教材の利用冊数は、商業学科が最も多く、平均4.1冊、工業学科が3.7冊、農業学科が2.7冊の順であった。自作図書教材を開発している県等の比率は、農業学科が最も多く、約75%で、工業学科が20%、商業学科が10%の順であった。自作図書教材を開発している学校の比率は、工業学科が最も多く、約35%で、商業学科が32%、農業学科が20%の順であった。しかし、自作教材の開発には、執筆・編集に当たる先生方の負担増、生徒の費用負担増、それに伴う改訂作業の遅れ、著作権の問題など、多くの問題点が明らかになった。市販の図書教材の利用も、生徒の費用負担を考慮すると自ずと限界がある。生徒数の減少期に当たる昨今、職業学科に関する検定教科書の発行減も予想される一方、総合高校の設置、多様な科目の導入など、教育課程の弾力化が進められている中で、必要とされる補助図書教材の種類は益々増大する傾向にある。今後、教材開発に向けての予算措置をはじめ、そのために国立等の機関の設置など、総合的な対策が急がれる。
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