1994 Fiscal Year Annual Research Report
日本語授業における学習者の認知過程と教師の意思決定に関する研究
Project/Area Number |
05680237
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
西村 よしみ 筑波大学, 文芸・言語学系, 助教授 (40208228)
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Keywords | 再生刺激法 / 文の産出 / 学習不能項目 / 学習ストラジ- |
Research Abstract |
今年度は作文(中級)の授業を録画し、前年度までの初級日本語クラスとの差異を検討し、日本語で作文を書く時の学習者の認知過程をモデル化する資料を収集した。 今回の調査では、既習の文法的知識を使用して日本語で文を産出する過程の調査によって、前年度までの初級文法習得過程とは異なる認知過程と学習ストラテジーの使用が見られた。作文の産出過程では、既習の文法規則を用いて文が産出されるのは、基本的な構文が多い。文を連ねて行くという過程で、成績下位のものは苦労していた。また、成績上位者は複文、重文に構成していこうという努力はあるが、その過程で意味的な繋ぎで多くの誤用を侵している。また、自動詞、他動詞の使用は、成績上位者においても誤用の頻度が多く、基本的な動詞の暗記だけでは、中級レベルの作文では正確な文が産出されない。日本語の自他動詞は、基本的には学習不能の項目ではないかという仮説が立てられる。初級日本語学習者で問題となった自他動詞が中級レベルの学習者でも解決されずに、誤用を産み出している事が明確になった。 初級レベルでの日本語習得モデルと中級レベルの作文産出過程のモデルを比較した。来年度は、本研究の最終年度であり、第二言語習得過程をまとめていく。
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