1994 Fiscal Year Annual Research Report
臨床検査値の縦断的データに基づく仮想的加齢曲線の推定
Project/Area Number |
05680252
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
大瀧 慈 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助教授 (20110463)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下方 浩史 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助教授 (10226269)
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Keywords | 成長曲線モデル / 繰り返し測定 / 混合効果モデル / 臨床検査値 / 縦断的データ / コホート効果 / 線形構造 / 加齢曲線 |
Research Abstract |
本研究における理論的な研究成果として、アンバランス型の繰り返し測定データに対する有効な解析を実現させるための統計的方法として、Vonesh and Carter(1987)による成長曲線モデルに基づいた解析方法の拡張を行った(Ohtaki,1994,J.J.Biomet.)。この拡張は「成長曲線モデルの平均構造母数や分散母数に線形構造を導入して、モデルに含まれる未知母数の個数を減少させる」というものであり、平行プロフィールモデルや時間変量や個体内変量と個体間共変量の間に交互作用効果が無いモデルなど実用性が高いと思われる重要なモデルが記述・表現でき、しかも計算量の少ない統計解析が可能となった。 仮想的加齡曲線の実際の応用として長野県佐久市の20歳から88歳までの一般住民健康診断参加者で1978年度から1988年度までに同様に5回以上の追跡を行えた男性3,760名、女性6,051名を対象とした解析を行った。各個人の血圧測定値の変化率を計算し、追跡期間の平均年齢順に平滑化し、その積分値を求めて、仮想的加齢曲線とし、縦断的変化を検討した。この結果推定された加齢曲線をみると、男性の収縮期血圧で20歳から80歳までに約23mmHg低下し、女性の収縮期血圧では60歳までほとんど変化はなく、60歳から80歳までに約15mmHg低下していた。拡張期血圧は男女ともに60歳までやはりほとんど変化なく、60歳から80歳までに男性で約12mmHg、女性では約14mHg低下していた。追跡期間中の肥満度は男性ではほとんど変化なく、女性ではわずかに低下傾向が認められた。肥満度で補正した加齢曲線は補正しない場合とほとんど違いはなかった。追跡期間中の性・年齢別の収縮期、拡張期血圧をみると、血圧は男女とも特に高齢者で年度の経過とともに低下していた。この集団では血圧に関する肥満以外の因子によるコホート効果があったと考えられ、仮想的加齢曲線によって純粋な加齢変化を的確に捉えることができなかったと推定された。
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Research Products
(1 results)