Research Abstract |
本年度は,昨年度に開発したKohonenの自己組織化ニューラルネットワークとDBNN(Decision Based Neural Network)を組み合わせた領域分割法の改良から取り組んだ.昨年の手法に対する数値実験の結果,DBNNの識別関数の形状とニューラルネットワークを構成するSubnetの個数が,テクスチャ画像の領域分割精度に影響を及ぼすことが明らかなり,最適な関数と個数の決定方法を考察した. 現実のテクスチャ画像は非定常性が強い場合が多く,昨年度までの定常性を有するテクスチャ画像用に開発した方法を非定常性の強い画像に適用したときには,良い分割結果が得られなかった.そのため,前処理として原画像のウェブレット変換を行った画像に対し,昨年開発した手法を適用したところ,非定常性に強い画像に対しても良好な分割精度が得られた.この方法は,画像が定常性を有すると考えられる場合にも当然適用可能であり,非常に汎用性のある領域分割方法である. また,カラーテクスチャ画像の領域分割問題に対しては,画像の特徴量抽出法が重要になる.本研究では,カラー画像のR,G,B成分各々の画像に対し,これまでのモノクロのテクスチャ画像に対する特徴量の他に,カラー特徴として,各3原色画像の平均濃度値と分散値,およびR-G,G-B,B-R間の相関係数を用いた.そして,モノクロ画像に対する領域分割法と同様に,これらの特徴量をニューラルネットワークに適用したところ,良好な分割結果を得ることができた. さらに,今年度の計画以外に,これまでの領域分割法で問題となっていた最適分割個数の自動決定法も開発することができた. これらの研究から,非定常性の強いテクスチャ領域を持つテクスチャ画像に対しても適用でき,しかも最適領域分割個数の自動決定も可能な汎用性のあるテクスチャ領域分割法が完成されたと思っている. なお,これらの研究成果は,近日,論文誌に投稿する予定である.
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