1993 Fiscal Year Annual Research Report
1923年関東地震に伴う長周期強震動の解明と強震動シミュレーション
Project/Area Number |
05680358
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武尾 実 東京大学, 地震研究所, 助教授 (00197279)
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Keywords | 強震動 / シミュレーション / 1923年関東地震 |
Research Abstract |
過去の研究では、ユーイング強震計記録と今村式強震計記録を用いて推定された関東地震時の東京での地動に、大きな食い違いがあった。特に、通常のユーイング強震計は周期6秒の波動が卓越するはずであるが、関東地震の記録は周期約13秒の波動が卓越した極めて特異なものとなっているため、この記録はこれまで多くの地震学者からあまり注意を払われていなかった。これらの観測記録の詳細な検討と、数値シミュレーションによる解析を行なった結果、以下のような新しい知見が得られた。 1923年関東地震の際のユーイング強震計の特異な記録がどのような状況のもとで観測されたものかを詳細に検討した結果、ユーイング強震計の摩擦抵抗がこの地震を記録しているときに大きかったと考えることにより、従来の相異なる推定地動の矛盾を解決した。関東地震の際の東京での地震動は大きな長周期成分を含んでおり、速度応答スペクトル(5%dumping)は周期13秒で120cm/secに達するものと考えられる。また、周期7.5秒付近での速度応答スペクトルは約50cm/secと見積られた。数値シミュレーションによる推定地動は一定の断層面と地震モーメントを与えた場合でも非常に大きく変化する。断層面上のすべり分布と破壊伝播の様式が推定地動に大きく影響する。断層面上のすべりの立ち上がり時間が短くなったり、破壊伝播速度が速くなると、周期5秒以下の速度応答スペクトルは大きくなる。さらに、表層に軟弱な堆積層があると地動は大きく増幅される。東京の下のくぼ地構造により地動の継続時間は大きく増大するが、速度応答スペクトルにはほとんど影響しない。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Takeo,M.,& H.Kanamori: "Simulation of Long-Period Ground Motions for the 1923 Kanto Earthquake" Bulletin of the Earthquake Research Institute. 67. 389-436 (1992)
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[Publications] Takeo,M.,S.Ide,& Y.Yoshida: "The 1993 Kushiro-Oki,Japan,Earthquake:A High Stress-drop Event" Geophysical Research Letters. 20. 2607-2610 (1993)