1993 Fiscal Year Annual Research Report
環境変化を考慮した湾域都市における高潮・洪水氾濫災害の危険度評価に関する研究
Project/Area Number |
05680368
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中川 一 京都大学, 防災研究所, 助教授 (80144393)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 賢治 京都大学, 防災研究所, 助手 (50135612)
細田 尚 京都大学, 工学部, 講師 (10165558)
井上 和也 京都大学, 防災研究所, 教授 (50026126)
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Keywords | 海面上昇 / 湾域都市 / 高潮 / 洪水氾濫 / 高潮氾濫 / 流木 / 地下街 / 津波 |
Research Abstract |
研究課題(1)の地球環境および都市立地環境の変化を考慮した高潮・洪水氾濫の規模予測に関する研究ならびに研究課題(2)の高度に発達した湾域都市での高潮・洪水の氾濫水理に関する研究については、海面上昇を考慮した高潮の規模予測を越流のみでなく越波も考慮して解析し、高潮とその氾濫を同時に解析し得るシミュレーション手法を構築して大阪湾域都市に適用した。その結果、海面上昇による氾濫範囲や規模の拡大化が定量的に評価できるようになった。また、河川の洪水流出に及ぼす埋立の影響に関しては、3次元多層モデルを大阪湾に適用し、埋立によるトレーサーおよび濁度物質の空間的な濃度分布変化を予測するなど重要な知見を得た。さらに、高潮と洪水の重畳氾濫による地下街での浸水についても、地上と地下街での氾濫をリンクしてシミュレートできる解析手法を開発し、地下街における浸水対策も評価可能となった。堤内地に氾濫した流木群の流動・堆積については、流れの場をオイラー的に解析し、流木の並進運動と回転運動を力学的に評価したラグランジュ的挙動追跡法を開発した。さらに、流木群の堰止め機構をモデル化し、流木群の堆積が時空間的に評価可能となった。 研究課題(3)については、高潮および津波氾濫時における住民避難行動のシミュレーション手法の開発にとりかかっており、研究は順調に進捗している。 研究課題(4)のライフライン、家屋等の直接、間接被害の予測および被害の拡大化に関する研究については、現在流木群の堰止めによる家屋の直接被害の定量的予測を行なっているとともに、地下街、地下ターミナルおよび地下鉄等の地下空間での氾濫現象とそれによる被害の拡大化についても研究を進めている。
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[Publications] 中川一・井上和也・池口正晃・坪野考樹: "流木群の流動と堰止めに関する研究" 水工学論文集. 38. (1994)
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[Publications] Hosoda,T.,A.Tada and K.Inoue: "Numerical Analysis of the Motion of Air Cavities in Horizontal Channels." Proc.7th Japanese Symp.on Computational Fluid Dynamics. 371-374 (1993)
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[Publications] Inoue,K.,H.Nakagawa and K.Shimamoto: "Numerical Simulation of Flooding in Cities in the Osaka Bay Area due to Storm Surges." Proc.of 3rd ROC & Japan Joint Seminar on Natural Hazard Mitigation. 105-116 (1993)
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[Publications] 古嵜裕三・井上和也: "河口周辺の埋立が流況におよぼす影響の数値予測" 土木学会第48回年次学術講演会講演概要集II部. 394-395 (1993)
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[Publications] 栗原哲・井上和也・中川一: "津波遡上に伴う河川高水敷の浸水過程に関する研究" 平成6年度土木学会関西支部年次学術講演会講演概要集. (1994)
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[Publications] 溝田敏夫・中川一・井上和也: "高潮氾濫の地下空間への浸水に関する研究" 平成6年度土木学会関西支部年次学術講演会講演概要集. (1994)