1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05680442
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
寺崎 誠 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (20111586)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲垣 正 東京大学, 海洋研究所, 教務職員 (00151572)
西田 周平 東京大学, 海洋研究所, 助手 (70134658)
才野 敏郎 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (60126068)
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Keywords | 東京湾 / ミズクラゲ / 生物量 / 生活史 |
Research Abstract |
東京湾ではミズクラゲのエフィラ幼生が10月から5月にかけて出現し,3月にピークに達する。成長は2月末から3月にかけて始まり,5月まで急激に成長して15cm程度になった後,成長は緩やかになり8月に最大になる。この間,遅くとも7月には成熟する。個体の衰弱にともなう傘径の収縮は,遅くとも10月には始まり,個体数も秋以降大きく減少するが,成熟個体は少なくとも翌年の5月まで残存する。通常,内湾部は湾口部よりミズクラゲの個体数密度が高く,燐,窒素などの栄養塩類濃度が高く餌生物も豊富な夏季に多くの集群形成が観測されたが冬期にはほとんど認められなかった。ネット採集による内湾部での100立方メートルあたりの個体数は5月に4.6個体,7月に5.6個体であったのに対し,2月は0.2,9月が1.5,11月が0.08個体と,秋から冬にかけて減少した。ミズクラゲの乾重量比でみた炭素量および窒素量は傘2.3%,0.8%,口腕5.5%,1.7%,生殖腺27%,8%であった。ミズクラゲの乾重量に占める灰分の割合は傘76%,口腕69%,生殖腺29%で,生殖腺の割合は全湿重量の1%以下であった。内湾部におけるミズクラゲの現存量を計算すると春から夏にかけて炭素量にしておよそ200-600トン,窒素量にして50-200トンがミズクラゲの形で蓄えられ,秋から冬にかけて再び放出されるか湾外に逸散することが明らかになった。魚群探知機を用いた湾内調査ではミズクラゲは50kHzよりも200kHzで強い反射を持ち,輪郭は魚のように明瞭ではなく全体にまだらな像であった。夏季には顕著な水温躍層が発達していたがミズクラゲは躍層に関係なく分布していることも魚群探知機調査で明らかになった。
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[Publications] 寺崎誠: "水質と生物" 沿岸海洋研究ノート. 30周年記念特別号. 167-175 (1993)
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[Publications] Toyokawa,T.: "Seasonal variation of Medusae and Ctenophores in the innermost part of Tokyo Bay." Bull.Plankton Soc.Japan. 41(印刷中). (1994)