1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05680443
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
森川 和子 東京農工大学, 工学部, 助教授 (50015046)
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Keywords | 河川細菌群集 / 従属栄養細菌数 / 湧水 / 硝酸代謝 / AODC |
Research Abstract |
多摩川の1支川である野川に注ぐ湧水,真姿の池において細菌群集の計数および分離を行った。細菌群集の計数は、平板法によるコロニー形成菌数とアクリジンオレンジ染色法による全染色性細菌数(AODC)の2通りの方法で行った。同時に採水した試料について化学分析を行ったところ、DOCで表される炭素量および燐の量は検出限界以下であったが、窒素についてはNO_3-Nの量が本川の多摩川で得られた測定値に比較して(上流域の約10倍、中流域の約3倍)非常に高かった。そこで細菌数との相関係数を計算したところ、平板法で得られたコロニー形成菌数は硝酸濃度の変動と独立して変動していると考えられたが、AODCで表される染色性粒子数と有意の相関をもって変動していることが明らかにされた。この事実は、湧水細菌群集の変動が、湧水中に存在している硝酸濃度の影響を直接受けていたことを示しており、河川細菌群集の起源の一つである湧水細菌群集が土壌環境の影響を受けていることは興味深い。また、土壌細菌群集に関しては約1万年前の土壌から分離された細菌群集は、分離当初コロニー形成に約3カ月以上を要したが、これを継代培養した結果、コロニー形成は2日と速くなった。その後この菌株は継代に失敗し再度分離を試みようとしている。湧水から分離した菌株について生理学的な検討を行ったが、硝酸塩の還元能はすべての菌株が持っており、通性嫌気性の菌株が非常に多かった。全体として、菌株の性質は河川細菌群集より土壌細菌群集に近かったといえる。
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