1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05680449
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大崎 進 九州大学, アイソトープ総合センター, 助教授 (90037276)
|
Keywords | 自然放射能 / 河口 / 移動速度 / 分配比 / 底質動物 / 不均質混合 |
Research Abstract |
多くの放射性核種や微量元素は、河川水と海水との混合や流速の減少などにより、河口域において沈積、濃縮しがちである。河口堆積物表面への吸着は河口水と堆積粒子との間のその化学種の分配比で決定し、河口域での濃縮の度合いは堆積層での下降速度で決定される。 河口堆積層における種々の化学種の分配比や下降速度を詳細に検討するために、未攪乱の表面河口堆積層約15cmを円筒状アクリル管で採取した後、低部はコルク栓で封じ、上部には河口水を入れた。その河口水中にNa-22、Sr-85、Cs-134、Mn-54、Fe-59、Co-57、Zn-65の溶液を微量注入した。30、60または90日間放置した後、河口水および堆積層中の各核種の分布を測定した。別に50℃、3時間加熱した堆積層も同様に実験し、生物の影響の有無を確かめた。 河口水に注入された核種の移動の結果を検討した結果、それらの核種は1)間隙水中でのイオン状態での拡散、2)間隙水と堆積粒子間での化学種の分配比、3)底質生物による均質混合、4)低質動物による不均質混合、5)微生物による酸化還元状態の変化を主とした機構で混合、移動している事が明らかになった。NaやSrはその分配比が0から2と小さく、ほとんどが間隙水中をイオン拡散で容易に移動した。これらの核種は河口ではあまり濃縮しないと考えられる。Csはその分配比が100から150で、間隙水中を90日で約3cm下降した。Csは大部分が河口で沈積し、一部が海へ流出すると考えられる。その他の重金属核種は分配比が1000以上で、拡散では移動せず、底質生物による混合のみである。これらの核種はすべて河口に沈積する。これらの移動は拡散-移動-反応モデルによる偏微分方程式でモデル化され、それぞれのパラメータが推定された。
|