Research Abstract |
我々は,騒音レベルや等価騒音レベルを計測すると同時に,騒音による心理的影響の程度もまた直接評価できる新しい騒音計を開発した.この騒音計には,dB単位の物理尺度ばかりでなく,基本的な実験に基づいて構成した「うるささ」尺度と「色相」尺度が挿入されている.ここで,評価語による心理尺度は,地域,文化,世代,性別,騒音源の種類,暴露経験等による影響を受け易いといわれている.その意味で,「うるささ」・「色相」騒音計に関する有用性の評価は,国内で他の地域へ広げ,数多くの事例について検証する必要がある. 本年度は,東京都民(135名)を対象にして,現場視聴実験を実施した.被験者は,本騒音計と従来のものを比べながら視聴した後,騒音による心理的影響に関する了解性,また計測・評価された尺度値との適合性について,7段階評定尺度の中から判断・選択した.選定した騒音源は,自動車,列車,航空機,ビル建設等である. 今回得られた新たな知見をまとめると以下のようになる.1.騒音による心理的影響の程度は,従来の騒音計では「わからない」.2.「うるささ」・「色相」騒音計では「よくわかる」.3.本騒音計による計測・評価結果の了解度は,東京都内の被験者,騒音源の種類等の違いによる影響が小さい.4.本騒音計による計測・評価結果の適合度は,東京都内の被験者,騒音源の種類等によらず,「合っている」. 以上の結果は,前回の長野市とその近郷で実施した本騒音計の有用性に関する心理評価実験の結果ともよく一致している.このことから,試作「うるささ」・「色相」騒音計は,長野市とその近郷および東京都の地域住民,各種騒音源等によらず,騒音による心理的影響の程度が共通の複合心理尺度で評価できるといえる. 今後,有用性の評価は国内各地に広げ,地域,文化,世代,性別等による影響の有無を検証する予定である.
|