Research Abstract |
「うるささ」・「色相」騒音計は,騒音防止対策の目標を明確にする立場から,騒音に暴されている大多数の住民が,騒音の視覚化情報呈示画面を見て騒音による心理的影響の程度がわかりやすく,かつ聴覚的にも合っていると感じる騒音評価法を確立することを目的としている。この呈示画面は,縦軸に「うるささ」と「色相」の複合心理尺度を,横軸にdB単位の等価騒音レベルを,両者の対応関係を一次関数表示している。具体的には,等価騒音レベル値だけから,評価尺度を介して,騒音による心理的影響の程度を指示する。 本年度は,騒音問題の発生が圧倒的に自動車騒音を取り上げ,宇都宮市,福島市,盛岡市,青森市,および札幌市の地域住民300名を対象に,「うるささ」・「色相」騒音計が現行騒音計と比較してどの程度有効であるかどうかを明らかにするために,現場試聴実験を行って,騒音による心理的影響の程度に関する理解度と一致度の観点から評価を試みた。 今回得られた新たな知見をまとめると以下のようになる。 1.「わかりやすさ」に関して,被験者の81.7%の人達は,「うるささ」・「色相」騒音計の方が現行騒音計よりも,騒音による心理的影響の程度が視覚的に「非常によくわかる」(12.3%)、「かなりよくわかる」(27.0%),および「よくわかる」(42.3%)と答えた。 2.「合っている」に関して,被験者の75.7%の人達は,自動車騒音の心理的影響の程度と「うるささ」・「色相」騒音計の測定結果とが「非常に合っている」(4.3%),「かなり合っている」(15.7%),および「合っている」(55.7%)と答えた。 以上の結果は,これまでの長野地区,東京都における実験結果ともよく一致している。このことから,「うるささ」・「色相」騒音計は,国内の中部,関東,東北,北海道地方の地域住民や騒音源の種類によらず,騒音による心理的影響の程度が共通の複合心理尺度で評価できるといえる。
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