1993 Fiscal Year Annual Research Report
マウスミニサテライト遺伝子座における放射線誘発生殖細胞突然変異の解析
Project/Area Number |
05680464
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
神谷 研二 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助教授 (60116564)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹羽 太貫 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (80093293)
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Keywords | Pc-1 / ミニサテライト遺伝子 / 放射線 / 遺伝的影響 / 生殖細胞突然変異 |
Research Abstract |
〔目的〕放射線の遺伝的影響を検討する目的で、父親マウスが放射線照射を受けた場合の、ミニサテライト遺伝子座Pc-1における生殖細胞突然変異の誘導を解析した。 〔方法〕C3H/HeN雄マウスに3Gyの^<60>Coγ線を照射した後、1週目(精子期照射群)、3週目(精子細胞期照射群)、11週目(精原細胞期照射群)におのおの正常C57BL/6N雌マウスと交配した。雌雄を逆にして照射後1週目(精子期照射群)に交配した群も設定した。両親とF1マウスの尻尾よりDNAを抽出し、これをHaeIIIで消化の後、サザンブロット法を行った。プローブにはPc-1ミニサテライト配列を用いた。Pc-1はマウス第4染色体にマップされ、GGGCAを反復単位とする遺伝子座であり、DNA合成時におけるreplication slippageにより、その数が変化しやすい。 〔結果と考察〕F1におけるPc-1遺伝子座の両allele合わせた自然生殖細胞突然変異は、C3Hで9.7%/配偶子、C57BLマウスを雄親とする群で9.6%/配偶子であった。3Gyの放射線照射マウスから生まれたF1におけるPc-1遺伝子座の両allele合わせた生殖細胞突然変異の頻度は、以下のごとくであった。すなわち、C3Hマウスを雄親とする精子期照射群では14%/配偶子で、対照群に比べ有意差はなかった。精子細胞期照射群では19%/配偶子となり、突然変異頻度は有意(P<0.05)に増加した。精原細胞期照射群では11%に低下するが、これは精原細胞における高いDNA損傷修復能を示すものと考えられる。雌雄が逆のC57BLマウスを雄親とする精子期群においては、Pc-1遺伝子座の突然変異頻度は13%/配偶子であった。 実際に照射されたC3H雄マウス由来のPc-1 alleleに限ってみると、その生殖細胞突然変異の率は、対照群で8.3%/配偶子、精子細胞期群で28%/配偶子となり、3倍強(P<0.005)に上昇した。以上のことより、Pc-1遺伝子座の生殖細胞突然変異頻度は、精子細胞期で有意な上昇が見られ、放射線の遺伝的影響の検出に有用であることが示された。
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[Publications] Niwa,O.,et al.: "Lack of allelic preference in amplification and loss of the c-myc oncogene in methylcholanthrene induced mouse sarcomas." Japanese Journal of Cancer Research. 83. 1192-1197 (1992)
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[Publications] Numoto,M.,Niwa,O.,Kamiya,K.,et al.: "Transcriptional repressor ZF5 identifies a new conserved domain in zinc finger proteins." Nucleic Acids Research. 21. 3767-3775 (1993)
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[Publications] Sadamoto,S.,Kamiya,K.,Niwa,O.,et al.: "Radiation induction of germline mutation at a hypervariable mouse minisatellite locus." International Journal of Radiation Biology. (in press).