1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05680469
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
井上 雅雄 金沢医科大学, 総合医学研究所, 講師 (60064565)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗原 孝行 金沢医科大学, 総合医学研究所, 講師 (20064595)
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Keywords | ダイオキシン / マウス生殖細胞 / DNA修復 |
Research Abstract |
1.ダイオキシンの生殖細胞への到達とその解析 放射性ダイオキシンを雄マウス(C3H/He,10週令)の腹腔に投与した。投与12時間後、精巣および肝臓の一部を摘出し、オートラジオグラフィー標本を作成し、組織中の銀粒子を検索した。ダイオキシン投与量33.3mug/kg(3.7MBq)において、標識された肝組織は細胞内脂肪滴や小胞体膨張などの細胞障害が認められた。一方、標識生殖細胞はほとんど検出されず、また、細胞障害像も検出されなかった。ところが、単位組織重量当たりの放射活性を検出したところ、精巣の到達量は肝臓の約1/25であるが、ダイオキシンは有意に到達していることが判明した。 2.ダイオキシンによる細胞内微細構造変化の検索 非放射性ダイオキシン(100mug/kg)を雄マウスの腹腔に投与した後、経時的に肝臓及び精巣を摘出した。摘出臓器の電子顕微鏡用標本を作成し、電子顕微鏡像から細胞内微細構造の変化を検索した。肝細胞においては、投与後24時間で細胞内脂肪滴の増加や小胞体及び核膜周囲腔の膨張などの細胞障害が認められ、3日後では、細胞核や細胞そのものの消失などがみられ、1週間後にはそれらがさらに顕著になった。一方、生殖細胞においては、24時間後から3日にかけて、小胞体の退化とその集合体と思われる像がセルトリ細胞に認められ、1週間後には、生殖細胞の一部が消失した精細管が認められた。 3.ダイオキシンによる生殖細胞の不定期DNA合成(UDS)の検索 非放射性ダイオキシンを雄マウスの腹腔に投与した後、経時的に^3H-チミジン(0.74MBq)を各々の精巣に投与した。ダイオキシン投与24時間後、精巣を摘出し、酵素を用いて生殖細胞を捕集した。固定後、その塗抹オートラジオグラフィー標本を作成し、細胞核内の銀粒子を検索した。100mug/kgの投与では、投与後24時間までのいずれの時間においても、また、いずれのStageの生殖細胞においても不定期DNA合成は誘発されなかった。さらに、同時に検出したDNA合成を生じた精原細胞の数も対照群と変わらなかった。そこで、ダイオキシンを直接精巣に大量投与(0.5mugおよび1.0mug)したところ、少量ではあるが、UDSが検出できた。UDSの細胞依存性はこれまで用いた変異原に似て精原細胞から早期精子細胞に誘発され、後期精子細胞から精子にかけては検出されなかった。
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Research Products
(1 results)