1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05680469
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
井上 雅雄 金沢医科大学, 研究所, 講師 (60064565)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗原 孝行 総合医学研究所, 講師 (20064595)
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Keywords | 新人為起源有害物質 / ダイオキシン(TCDD) / マウス生殖細胞 / 精子DNA切断 / 染色体異常 |
Research Abstract |
1)2、3、7、8-Tetrachloro didenzo-p-dioxin(TCDD)の精子への結合:放射性TCDDの0.02μgを雄マウス(C3H/He,10週令)精巣に投与後,経時的に精子を採取し、精子頭部の放射活性を検出した。精子頭部に結合したTCDD分子の数は、処理時未成熟精子(処理後7日目)が200と多く、早期精子細胞(処理後21日目)が25と最も少なかった。しかし、TCDDの数は、MMSやMNUの結果(10^5-10^6)に比べ桁違いに低かった。 2)TCDDによる精子DNAの切断:TCDD100μg/kgの腹腔投与後、経時的に精子を採取した。採取した精子頭部のDNAの切断を、アルカリ蔗糖密度勾配遠心法を用いて検出した。DNA切断は、TCDD処理後に採取したいずれの時期の精子においても、ほとんど生じていなかった。この結果は、以前検出したMMS処理(100mg/kg)の結果と異なり、100μg/kg処理ではDNA切断が生じないことを示している。ただし、MMS処理ではマウスの死亡率は0%であったが、TCDD処理では30%のマウスが死亡した。 3)生殖細胞の染色体分析:TCDDの腹腔投与後、コルヒチンを処理した後、生殖細胞を採取し、その染色体標本を得た。TCDDの100、200、300μg/kgのいずれの投与群においても、また、検索したいずれの染色体も異常は検出できなかった。 上記の結果より、ダイオキシン、TCDDは、アルキル化変異原やX線と異なり、雄マウス生殖細胞のDNA損傷を誘発しにくい物質であると考えられる。この結果は、前年度検索した不定期DNA合成を誘発しない結果を支持する。しかし、TCDDは腹腔投与で精巣に到達し、セルトリ細胞に障害をおよぼし、生殖細胞とのcell to csll interactionを阻害するようである。雌マウス生殖細胞については現在検索中である。
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Research Products
(1 results)