1993 Fiscal Year Annual Research Report
有機溶媒中での超分子集合体の形成と光誘起型機能制御
Project/Area Number |
05680510
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
伊原 博隆 熊本大学, 工学部, 助教授 (10151648)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永岡 昭二 熊本大学, 工学部, 助手 (10227994)
坂田 眞砂代 熊本大学, 工学部, 助手 (60187391)
平山 忠一 熊本大学, 工学部, 教授 (10040429)
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Keywords | ゲル / 光応答性 / 不斉 / 脂質膜 / 配向 / 重合性脂質 / 超分子集合体 / 円二色性 |
Research Abstract |
光感応基として脂質頭部にジエン基を有し、一分子中に3個のアミド結合を有する二鎖型の脂質を新規に合成した。この化合物を用い、有機溶媒中での高次配向体の形成をジエン基のスタッキング現象や誘起円偏光二色性等を観察することによって追跡し、光照射によるジエン基間の重合、ならびに重合に伴う形態やミクロ環境の固定化あるいは変形について詳細に検討した結果について報告する。 1)脂質頭部にジエン基を有する化合物は、ベンゼンやエタノールなどの有機溶媒に加熱溶解させた後、室温まで冷却すると溶液がゲル化した。ゲルは繊維状の会合体が三次元に絡みあっていることが確認された。また、ベンゼンやエタノール溶液のゲルは、示差走査熱量分析の結果、可逆的な相転移挙動を示すことが判明した。 2)エタノールゲルの円偏光二色性スペクトルを測定したところ、脂質頭部のジエン基は相転移以下の温度でR-キラルな頭-頭会合をしており、コンピュータシュミレーションから、アミド結合による分子間での水素結合が、超分子集合体の形成に関与していることがわかった。 3)有機溶媒中でのゲルの光反応において、その重合速度は溶媒の温度や種類によって異なることがわかった。また、得られた重合物の重合度も溶媒の種類によって異なり、分子の配向状態を制御することで重合反応のコントロールが可能となった。また、重合後において、分子の配向状態は変化するが、形態や相転移挙動は維持されることがわかった。 以上のように、分子内に3個のアミド結合を有する二鎖型脂質は、有機溶媒中で超分子集合体を形成し、光照射による重合反応の制御および機能の固定が達成された。
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