1994 Fiscal Year Annual Research Report
有機溶媒中での超分子集合体の形成と光誘起型機能制御
Project/Area Number |
05680510
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
伊原 博隆 熊本大学, 工学部, 助教授 (10151648)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永岡 昭二 熊本大学, 工学部, 助手 (10227994)
坂田 眞砂代 熊本大学, 工学部, 助手 (60187391)
平山 忠一 熊本大学, 工学部, 教授 (10040429)
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Keywords | 脂質膜 / 分子膜 / 相分離 / アミノ酸 / 不斉選択性 / 光学活性 / 膜透過 / 円二色性 |
Research Abstract |
ベンゼン中で脂質膜類似の配向性分子集合体を形成する新規な人工脂質を開発し、その機能について調査した。以下に結果を要約する。頭部および長鎖アルキル基がアミド結合によって導入された脂質は、ベンゼン中で配向性分子集合体を形成し、溶液をゲル化させることを確認した。このようなゲル化は、電子顕微鏡観察により、脂質が繊維状の会合体を形成し、これらが溶液中で絡み合うことによって形成されていることが確認された。一方、エステルで導入された脂質では、このようなゲル化は観察されなかった。コンピュータシミュレーションにより、脂質中の3個のアミド結合が脂質間の水素結合に有効に利用されていることが判明した。 フタロイルフェニルアラニンをこのオルガノゲルに溶解させ、希アルカリ溶液への透過挙動を検討したところ、溶出速度において不斉選択性はほとんど認められなかった。そこで結合サイトとして頭部がピリジニウム基からなる脂質を混合し、同様な透過挙動を検討したところ、3.フェタロイルフェニルアランの溶出速度の減少が確認されるとともに、不斉選択性が観察された。選択性の発現機構を解明するために、示差走査熱量分析や円二色性スペクトル測定を実施したところ、結合サイトが集合体中で相分離し、この部分にD-体のフタロイル誘導体が選択的に結合するものと推定された。なお、結合の主な駆動力は、静電相互作用と水素結合あるいはπ-π*相互作用と考えられる。 以上のようなオルガノゲルに関する研究は世界的にも例が少なく、とくに本研究のように、キラルオルガノゲルを利用した光学分割の例は初めてであろう。
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[Publications] 伊原博隆: "Functional organic gels.Chirality induction through formation of highly-oriented structures" Liquid Crystals. 18. 97-99 (1995)
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[Publications] 伊原博隆: "脂質膜類似物によるオルガノゲルの形成と分子認識への応用" 表面. 32. 43-54 (1994)
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[Publications] 伊原博隆: "アイ・ピ-・シ-" 配向性分子材料の機能設計と用途新展開, 300 (1995)