1993 Fiscal Year Annual Research Report
ラットセリンアミノ転移酵素遺伝子の2つのプロモーター及び上流域の解析
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05680546
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
小田 敏明 浜松医科大学, 医学部, 助教授 (90126805)
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Keywords | ホルモン応答エレメント / 酵素誘導 / セリンアミノ転移酵素 / 転写調節 |
Research Abstract |
(1)SPT遺伝子のホルモン応答領域、その他のシスエレメントの同定 SPT遺伝子上流域-5.5kbまでを含む組換え体、および塩基配列を既に決定している-1.26kbまでを含む組換え体について各種ホルモンの効果を調べた結果、両組換え体ともcAMPに対する応答性を保持していることが分った。次に-1.26kbから順次欠失を導入した組換え体を用いて同様の解析を行ったところ、当初予想していた-685〜-625に存在するcAMP responsive element(CRE)よりも、-194〜-107の領域の方がcAMPによるSPT遺伝子の転写促進に寄与していることが判明した。またこの領域はホルモン非添加時のBasalな転写活性にも必須であった。この領域にはCRE様の配列は見られないのでCREB以外のよりGeneralな蛋白質因子が作用しているものと推測された。 (2)転写開始位置の決定機構の解析 典型的なTATA Boxを持たない下流のプロモーター(+66より転写)の最小機能配列を推定するために、解析する組換え体のSPT遺伝子プロモーターの3'側は+105に固定し、5'上流からの順次欠失組換え体を作製した。プロモーター活性は+36〜+105でも見られたが、+9〜+105,-52〜+105と上流域を長く含むにしたがって上昇し、-52〜+105、-107〜+105で最大活性を示した。+9〜+105にはTATA-lessプロモーターの一つとして提唱されているHIP1(Housekeeping initiator protein 1)の結合するコンセンサス配列、ATTTCN(1-30)GCCAが存在しているが、-52〜+105まで含まないと最大活性が出ないことよりHIP1配列のみでは下流プロモーターの至適活性の発揮には不十分であると考えられた。一方、上流からの転写は-194〜+36で最大となるので、-107〜+36に含まれるCCAAT Box,TATA Box外に-107〜-194に含まれる別のエレメントが最大活性を出すために必要であろうと推論された。また、上流、下流それぞれの転写生活を-107までの組換え体で比較したところ、上流のプロモーターの活性は下流のプロモーターの活性の1/10以下であることが明らかとなり、これはラット肝のRNAブロット解析で得られた結果と一致する。
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[Publications] Oda,T: "Characterization and sequence analysis of rat serine:pyruvate/alanine:glyoxylate aminotransferase gene" Genomics. 17. 59-65 (1993)
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[Publications] Uchida,C: "Regulation by glucagon of serine:pyruvate/alanine:glyoxylate aminotransferase gene expression in cultured rat hepatocytes" J.Biol.Chem.(in press). (1994)