1994 Fiscal Year Annual Research Report
顆粒球の分化におけるミエロペルオキシダーゼ遺伝子の転写調節の分子機構
Project/Area Number |
05680549
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
山田 道之 横浜市立大学, 文理学部, 教授 (10076995)
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Keywords | 顆粒球 / 遺伝子発現 / 転写調節 / シス-エレメント / ミエロペルオキシダーゼ |
Research Abstract |
ミエロペルオキシダーゼ(MPO)は、顆粒球の特異的タンパク質である。MOPは、正常顆粒球の分化の過程で前骨髄球の時期だけに発現する。また、MOPは、骨髄性白血病HL-60細胞やSKM-1細胞でも発現しているが、細胞の分化誘導によって発現しなくなる。本研究の目的は、MPOの遺伝子の転写に関与するシス-エレメントを同定することである。 MOP遺伝子のシス-エレメントのエンハンサー活性は、遺伝子のXbal断片をエンハンサーレスpA10CATに挿入し、コンストラクトを作成し、SKMI細胞に導入し、CAT活性から算定した。DNA結合タンパク質結合部位の塩基配列は、DNA断片とHL-60細胞核抽出液との相互作用をDNAメチル化干渉法とDNaselフットプリント法を用いて解析し、決定した。 MPO遺伝子の6コのXbal断片のうち、イントロン7を含む断片とイントロン9を含む断片にエンハンサー活動が検出された。イントロン7の塩基配列特異的タンパク結合部位は、GGTCATTATGACCであった。この配列はエストロゲン応答反応(ERE)の保存配列である。また、イントロン9の核タンパク質結合部位は41bpであった。この配列は、EREの保存配列のハーフモチーフと5塩基間隔で構成されるパリンドローム構造を含んでいる。これら2つの塩基配列の合成オリゴマーは、いずれも、数10倍のエンハンサー活性をCATアッセイで示した。これまでの結果は、MPO遺伝子のイントロン7とイントロン9のシス-エレメントが遺伝子の発現に関与しうることを示唆している。 上記の2つのシス-エレメントに結合する転写因子は不明であり、その分離同定は今後の課題である。MPO遺伝子の発現は顆粒球の分化と強く連携しているので、その転写調節因子は顆粒球の分化の決定にも関与していると考えられる。
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[Publications] M.Yamada: "Identifications of transcriptional cis-elements in intron7 and 9 of the myeloperoxidase gene." J.Biol.Chem.268. 13479-13485 (1993)
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[Publications] Y.,Hosokawa: "Cloning and characterization of four types of cDNA encoding myeloperoxidase from human monocytic leukemia cell line SKM-1" Leukemia. 7. 441-445 (1993)
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[Publications] K.Imai: "A novel transcript from a human glucocerebrosidase pseudogene in cultured human cell lines" Gene. 136. 365-368 (1993)