1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05680556
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
藤原 和子 徳島大学, 酵素科学研究センター, 助教授 (20108880)
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Keywords | リポ酸 / グリシン開裂酵素系 / リポ酸転移酵素 |
Research Abstract |
リポ酸は生体内では補欠分子族として蛋白質に結合した形で存在している。リポ酸を結合している蛋白にはグリシン開裂酵素系のH蛋白と、3種類のα-ケト酸脱水素酵素複合体のE2成分(アシル基転移酵素)が知られている。我々はウシH蛋白のcDNAから大腸菌中でアポ型H蛋白を大量発現し、精製した。これをリポ酸の受容体として用いてリポ酸転移酵素を精製し以下の結果を得た。 ウシ肝臓ミトコンドリアから可溶化したリポ酸転移酵素は精製の第一段階であるhydroxylapatite column chromatographyによって2つの画分に分けられ、約0.2Mと0.22Mリン酸濃度で溶出される酵素をそれぞれリポ酸転移酵素I,IIと名付けた。リポ酸転移酵素IIはその後、DEAE-Sepharose,butyl-agarose,apo-H-protein-Sepharose,hydroxylapatite HA-1000等のcolumn chromatographyによって単一にまで精製した。一方、リポ酸転移酵素IはDEAE-Sepharose,butyl-agarose,apo-H-protein-Sepharpe,Sephacryl S-200 HR等のcolumn chromatographyによって精製したが、まだわずかな不純物の混入が見られた。これら両酵素の分子量はゲルロ過とSDS-PAGEによると40.000であり、この酵素が単量体で機能していることが明らかになった。至適pHは共に7.9であった。IとIIのlipoyl-AMPに対するapparent Kmはそれぞれ13μMと16μMであった。又、apo-H-proteinに対するapparent Kmはそれぞれ0.29μMと0.17μMであった。Lipoyl-AMPはリポ酸とATPとに置換できなかったのでこれらの酵素にはリポ酸を活性化する能力がないことがわかった。又、酵素が最大活性を示すには活性測定時にウシ血清アルブミンを0.1〜0.2mg/ml添加する必要があった。これらの結果が示す様にリポ酸転移酵素IとIIの性質に著しい相違は見い出されず、今後分子レベルでの両者の相関について研究を行なう予定である。
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