1993 Fiscal Year Annual Research Report
コレステロール側鎖切断反応メカニズムと関連遺伝病の解析
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05680565
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Research Institution | Nakamura Gakuen College |
Principal Investigator |
原 孝之 中村学園大学, 大学院, 助教授 (10164998)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹嶋 美夏子 中村学園大学, 家政学部, 助手 (00241183)
安田 敏行 千葉大学, 医学部, 講師 (00211615)
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Keywords | コレステロール / コレステロール側鎖切断反応 / チトクロームP-450scc / アドレノドキシン還元酵素 / アドレノドキシン / 副腎リポイド過形成症 / 反応メカニズム / 遺伝病解析 |
Research Abstract |
ステロイドホルモンは、高等動物の正常な生命活動の維持に必須の重要なホルモンであり、その生合成の異常は直ちに重症の疾患を引き起こす。ミトコンドリアのシトクロムP-450(P-450)は、ステロイドホルモン合成の律速段階のコレステロール側鎖切断反応を触媒するP-450sccとグルココルチコイド合成、ミネラルコルチコイド合成をそれぞれ触媒するP-450llβとP-450aldoの3分子種があり、いずれも多くの疾患との関連から、その生合成の調節機構の研究が注目されている。先天性副腎リポイド過形成は、従来P-450scc酵素の欠落によるとされていたが、共同研究者の安田らのcDNA解析では異常がなく、タンパク質も発現されていることがわかった。また、アメリカのミラーらはAR、ADにも異常がないことを明かにしている。このことから、本症例において、コレステロール側鎖切断活性が消失する理由は不明であり、本研究は、AR、RD、P-450sccの相互作用に異常がないかを酵素化学の立場から解明しようとするものである。本年度の検討から、先天性副腎リポイド過形成症ヒト精巣ミトコンドリアのAR、AD、P-450sccレベルは、ブロッテイング分析でかわらないことがわかった。しかしながら、コレステロール側鎖切断酵素活性は、本症では、正常の35%であり、決して活性は0ではないこともわかった。次に、ミトコンドリアを超音波処理したのち、ウシ副腎皮質から精製したAR、ADの添加効果について検討した。ARのみの添加では、活性は1.8倍増加したが、正常の43%であった。さらにADを添加すると、活性は4.4倍増加したが、正常の18%であった。このことから、本症ミトコンドリアでは、AR、AD、P-450の相互作用に何等かの異常が起きていることも考えられる。現在、この原因を解明するとともに、この異常を来す物質の検索を既に確立したin vitroアッセイ係で検索中である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] S.Watabe,T.Hara,et al.: "In Vitro Degradation of Mitochondrial Proteins by ATP-Dependent Protease in Bovine Adrenal Cortex" J.Biochem.113. 672-676 (1993)
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[Publications] T.Hara & T.Takeshima: "Cytochrome P-450:Biochemistry,Biophysics,and Molecular Biology" John Libbey Eurotext Conclusive Evidence of a Quaternary Cluster Model for Cholesterol Side Chain Cleavage Reaction(in press), (1994)