1993 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト好中球に発現するCEAファミリー細胞接着分子の生理的機能の解析
Project/Area Number |
05680566
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
黒木 求 福岡大学, 医学部, 助手 (10131822)
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Keywords | CEAファミリー / NCA / 好中球 / 細胞接着分子 / バキュロウィルス / 組み換えタンパク / CD67 |
Research Abstract |
まず可溶性抗原を大量に得るため、バキュロウイルス発現系を用いてNCA-50/90,CGM6,BGPgおよびCGM7の組み換えタンパクの作製を試みた.分泌型タンパクにするためC端相当部を除いたcDNAをpBK283ベクターに挿入し,ウイルスDNAとともにBmN4細胞にトランスフェクトした.クローニング後カイコに感染させ,体液より抗NCA抗体を用いたアフィニティクロマトにより組み換えタンパクを精製した.体液中のNCA-50/90の濃度は約1.3mg/mlと非常に高濃度であった.組み換えNCA-50/90は約45kDaで好中球のNCA-50/90の半分の大きさであったが,ペプチド部分の大きさがほぼ同じことから,糖鎖は不完全であるがペプチド部分はほぼ完全なものと考えられた.他の3つの組み換え抗原は現在精製中であるが,この系では従来の高等動物細胞を用いる系に比べ100倍以上のタンパク量が得られ,細胞接着の解析だけでなく,抗体の作製やタンパク自体の解析にも役立つものと考えられる. 次に好中球と組織との接着の実験モデルを作製するため,ヒト大腸癌由来HT29細胞をグルコース不含培養液中で培養することにより分化を誘導し,クローニングによりCEA高産生株を選んだ.このクローンは,ニトロセルロース膜上で培養することにより単層を形成した.この単層はCEAが細胞の頂端側表面に極在することなどから,正常大腸粘膜上皮によく似た性質を持つと考えられた.この単層で仕切られた上槽に好中球を,下槽に遊走因子を入れ,好中球との相互作用とそれに対する抗NCA-50/60,CEA,CD67抗体の影響を解析中であるが,この系は糖鎖を介さない,CEAファミリー抗原どうしによる細胞接着を解析するうえで有用であると期待される.
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