1993 Fiscal Year Annual Research Report
動物細胞表面に存在するホスファチジルセリン-フリッパーゼの解析
Project/Area Number |
05680570
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小林 俊秀 東北大学, 理学部, 助教授 (60162004)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大木 和夫 東北大学, 理学部, 教授 (80115394)
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Keywords | CHO / ホスファチジルセリン / フリップ-フロップ / フリッパーゼ |
Research Abstract |
ホスファチジルセリンの非対称分布は細胞膜に存在するリン脂質の膜を横切った移動(フリップフロップ)を触媒するタンパク質(フリッパーゼ)により維持されていると考えられているが、フリッパーゼの実体は明らかにされていない。本研究ではフリッパーゼを欠損した動物細胞変異株を取得し、フリッパーゼの生理的意義を知るとともに遺伝的手法を用いたフリッパーゼの同定の足掛かりを得ることを目的とした。 フリッパーゼを欠損した動物細胞変異株を取得するにあたり、これまで遺伝的な解析が数多く行われているCHO細胞を親株として選んだ。培養動物細胞表面でのホスファチジルセリン-フリッパーゼの活性はこれまでV79細胞でしか報告がなかったため、まずCHO細胞形質膜でのエンドサイトーシスの起こらない10℃におけるフリッパーゼに依存した脂質の取り込みを測定した。その結果、ホスファチジルセリンは細胞内に取り込まれたが、ホスファチジルコリンの取り込みは観察されず、CHO細胞表面にホスファチジルセリンに特異的なフリッパーゼが存在することが示唆された。 フリッパーゼ欠損変異株の取得は実験開始当初はピレン標識したホスファチジルセリン類似体を用い、ホスファチジルセリンの取り込み活性の低下した株を濃縮するという方法を計画していた。しかし研究を進める過程で不飽和脂肪酸を含むホスファチジルセリンには細胞毒性があることを見いだし、ホスファチジルセリン耐性というかたちでフリッパーゼ欠損変異株が濃縮できる可能性が示唆された。そこで変異剤処理したCHO細胞7,500万株からホスファチジルセリン耐性株を取得し、最終的に蛍光顕微鏡下での10℃でのフリッパーゼ活性の測定によりフリッパーゼ活性が低下した変異株を取得した。
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