1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05680580
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原田 繁春 大阪大学, 工学部, 講師 (80156504)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
甲斐 泰 大阪大学, 工学部, 教授 (40029236)
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Research Abstract |
Streptomyces caespitosusが生産する中性プロテアーゼSCNPの基質認識機構を解明するために以下の研究を行なった。(1)SCNPのnative構造を2.5A分解能の電子密度図をもとにして決定し、精密化をほぼ終了させた。その結果、SCNPは3本のα-ヘリックスと4本のβ-鎖からなるβ-シートからできており、サーモリシンに代表されるこれまでに立体構造がわかっている亜鉛プロテアーゼとは異なった立体構造をとっていることがわかった。しかし、一次構造中には他の亜鉛プロテアーゼと同様、His-Glu-X-X-Hisというconsensus配列が存在し、この中の2つのヒスチジン残基の側鎖が亜鉛に配位していた。更に、水分子とAsp93が配位子となっており亜鉛は4面体配位構造をとっていることがわかった。サーモリシン等ではアスパラギン酸ではなくグルタミン酸が配位子になっているという違いがあるものの、一次構造や立体構造の異なる蛋白質に於て、活性に深く関与している亜鉛原子の配位構造が似ているということは分子進化の上で興味深い。今後は基質阻害剤との複合体結晶の構造を精密化し、SCNPに阻害剤がどのように結合しているのかを明らかにすることで、酵素反応のメカニズムや基質認識の機構を明らかにしていく。(2)活性中心の亜鉛原子を他の金属に置き換えた金属置換体SCNPを調製し、それらの活性測定と結晶化を行なった。その結果、Co置換体ではnativeに比べて活性が少し減少するが、Mn置換体やCd置換体では活性が上がることがわかった。現在のところ結晶はMn置換体ができているのみであるが、今後これら置換体の構造解析、置換体と阻害剤との複合体結晶の構造解析を行ない、活性中心の金属原子の違いと活性の関係を立体構造をもとにして解明していく。
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