1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05680580
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
原田 繁春 東京大学, 薬学部, 助教授 (80156504)
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Keywords | プロテアーゼ / 金属プロテアーゼ / X線結晶構造解析 / Streptomayces caespitosus |
Research Abstract |
Streptomyces caespitosusが産出する金属プロテアーゼSCNPの構造・機能相関を解明するためにアミノ酸配列と立体構造を決定した。[1]アミノ酸配列はEdmann分解法で決定した。132個のアミノ酸残基からなり、83-87番目にかけて亜鉛金属プロテアーゼに共通に見いだされているHEXXH配列が存在している。これまで発見されている亜鉛金属プロテアーゼ(Jiangらによって5つのサブファミリーに分類されている)の中で最も分子量が小さく、相同性も見られない。[2]結晶構造解析の結果、最終的にR-factorが0.18(2.0A分解能)の精度でSCNPの立体構造が決定できた。5本のβ鎖から成るβシートと3本のαヘリックスからできている。HEXXH配列(H83-E-T-G-H87)は2番目のヘリックス上に存在し、H83、H87、水分子が亜鉛に配位している。更にD93も配位子となっており、全体としては4面体配位構造をとっている。これまでにアミノ酸配列と立体構造が決定されている亜鉛金属プロテアーゼは、全てHEXXH配列中の2つのヒスチジンと水分子が配位し、アミノ酸残基の数・アミノ酸配列が異なるにも関わらず共通の主鎖のfoldingを持っている。この共通のfoldingはSCNPの構造そのものである。即ち、SCNPは蛋白質分解活性に必要な最低限のアミノ酸残基・構造を示していると考えられる。亜鉛への配位の様子についてはthermolysinが4配位構造をとっているのに対して、他のサブファミリーではすべて5配位構造なっている。更に、thermolysin以外はHEXXH配列の最初のヒスチジンから数えて8番目に共通にグリシンが見られる。このグリシンは、11番目のヒスチジンが亜鉛に配位できるように、主鎖をこの部分で鋭く曲げている。SCNPについて見ると、8番目にグリシンがあり11番目のアミノ酸残基が亜鉛に配位しているが、11番目は他のものではヒスチジンなのにSCNPではアスパラギン酸である。また、5配位構造ではなく、thermolysinと同じ4配位構造となっている。このように、SCNPはJiangらによって分類されたいずれにも属さず、新規なサブファミリーであると考えられる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Shigeharu Harada: "Crystallization and Preliminary X-ray Studies of a Protease from Pseudomonas aeruginosa" J.Mol.Biol.230. 1315-1316 (1993)
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[Publications] G.Kurisu: "Crystal Structure of Neutral Protease from Streptomyces caespitosus" Acta Cryst.A. A49. 74 (1993)
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[Publications] 原田繁春: "Streptomayces caespitosusが産出する蛋白質分解酵素の構造" 生産と技術. Vol.46. 55-57 (1994)