1994 Fiscal Year Annual Research Report
細胞核と細胞質間の輸送の分子機構-インフルエンザウイルスによる研究
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05680589
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
福田 龍二 金沢大学, 医学部, 教授 (60027331)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畑田 恵利子 金沢大学, 医学部, 助手 (70228469)
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Keywords | 核・細胞質間輸送 / インフルエンザウイルス / 核孔 / 核小体 / Ml蛋白質 / NA蛋白質 / NSl蛋白質 / ウイルス粒子形成 |
Research Abstract |
核と細胞質間の高分子物質の輸送機構の研究で、インフルエンザウイルスの増殖過程は幾つかの興味ある問題を提起している。 (1)核内で複製したゲノムRNA・蛋白質複合体(vRNA)がウイルス粒子形成のために核孔から細胞質へと搬出される過程で、ウイルス粒子被覆蛋白質、Ml蛋白質が関与することを明かとした。その分子機構を知る為に、tsMl変異株の解析を行ない新しい知見を得た。すなわち感染時間をこれまでよりも長くするとvRNPがMl蛋白質を伴うことなく細胞質へと輸送されることである。したがってMlが輸送のシャペロンとして働くというこれまでのモデルの修正が必要となり、それを検証する実験を行なっている。 (2)核から細胞質へ搬出されたvRNPがウイルス粒子形成の次の段階で、細胞質でどの様な形態で存在するかは新しいモデルの検証に重要であると考えられた。ウイルス膜糖蛋白質NAの細胞質ドメインとそれに続く膜貫通ドメインの一部のアミノ酸配列は亜型間で良く保存されており、ウイルス粒子形成過程で重要な役割を持つと推測された。これらのドメインの種々の人工変異株ウイルスの回収をトランスフェクション実験で調べ、vRNPがこの領域と相互作用しMlがその仲介をする可能性が示めされた。またNAのこの領域の高次構造が重要であると考えられた。 (3)ウイルスNSl蛋白質の核への搬入において核小体がはたす役割を調べ、NSlがリボソームRNAの特定の配列に強く結合することを明らかとした。また搬入の時間経過を調べ、NSlはまず核小体に分布し、その後核質中に展開することを明らかとした。すなわち搬入を仲介するシャペロンと共に核孔を通過したNSlは、まず核小体に入り、リボソームRNAに結合することによりシヤシャペロンを遊離し、その後核質中に入る経路が示唆された。このシャペロンの同定のためにTwo Hybrid System法とFar Western法でそのcDNAの分離を試みている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] H.Ohmori: "dinP,a new gene in Escherichia colt,whose product shows simildrities to UmuC and its homolgues" Mutation Research Letters. (in press). (1995)
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[Publications] T.Takizawa: "Activation of the apoptotic Fas antigen‐encoding gene upon influenga virus infection inuolving spontaneocisly producod beta‐interferon" Virology. (in press). (1995)