1993 Fiscal Year Annual Research Report
下等真核細胞のリボソームRNA遺伝子転写制御因子の単離.解明
Project/Area Number |
05680597
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
禾 泰寿 埼玉医科大学, 医学部, 助教授 (60101937)
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Keywords | 出芽酵母 / 分裂酵母 / 転写制御 / リボソームDNA |
Research Abstract |
出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)のリボソームRNA(rDNA)遺伝子の転写制御変異株(現在まで少なくともrrn3,rrn6及びrrn7の3変異を同定)のうち,rrn3変異を相補するRRN3遺伝子をクローン化し、全塩基配列を決定した。その結果,RRN3蛋白は627アミノ酸から成り,計算上の分子量は72,400であった。既知の蛋白との相同性を調べたが,RRN3と相同性を示す蛋白は認められなかった。RRN3蛋白の特徴はアミノ酸残基247-281の間に酸性アミノ酸のストレッチ(74%のアミノ酸が酸性アミノ酸から成る)があり,また全長にわたり酸性アミノ酸が多く分布し,全体のpIが4.4である。RRN3遺伝子破壊の結果,RRN3蛋白は増殖に必須である事が明らかになった。またRRN3蛋白をGALプロモーターで過剰発現させると,酵母細胞の増殖が阻害された。この事はRRN3蛋白は細胞増殖に必要な他の蛋白と相互作用している事を示唆している(米国カルフォルニア学の野村真康博士らはRRN3蛋白を部分精製し,RRN3蛋白が複合体を形成している可能性を示す結果を得た-私信)。 次に筆者は平成6年度に計画していた研究を開始した。即ち上述の出芽酵母rDNA転写制御変異株(rrn3,rrn6,rrn7)を宿主にして,これら変異を相補する分裂酵母(Schizosaecharomyces pombe)のcDNAバンク(出芽酵母で発現できるようになっている)をスクリーニングして,分裂酵母のrrn3,rrn6及びrrn7相同遺伝子を単離する研究を開始した。数回にわたるスクリーニングの結果,温度感受性rrn3変異であるrrn3-2を相補する分裂酵母cDNA,SPR31(S・pombe supressor of rrn3)を得る事ができた。SPR31の全塩基配列を決定したところ,SPR31は434アミノ酸から成る蛋白をコードしていて計算上の分子量は50200である事が示された。しかしながらSPR31蛋白はRRN3蛋白と全く相同性を示さなかった。SPR31はRRN3と相互作用する蛋白であると予想される。現在rrn3-2変異株を宿主にして,さらに分裂酵母cDNAバンクをスクリーニングしている。
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