1993 Fiscal Year Annual Research Report
有糸分裂における染色体の協調的挙動のモニタリング機構
Project/Area Number |
05680609
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
丹羽 修身 京都大学, 理学部, 助教授 (70144318)
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Keywords | 有糸分裂 / ミニ染色体 / 分裂酵母 / DNAトポイソメラーゼ / 動原体 / 紡錘体 |
Research Abstract |
分裂酵母の第III染色体動原体反復配列領域のほぼ全体を含む巨大な環状ミニ染色体(CM3354)が有糸分裂において不安定であり、sta遺伝子突然変異や多コピーの動原体dg-dh配列の導入によって安定化されることが既に明らかになっていた。またCM3354のような不安定なミニ染色体が存在すると有糸分裂の進行に遅延が起こることも明らかになっていた。本研究では、まずCM3354の有糸分裂における安定性が核内のII型DNAトポイソメラーゼの活性によって著しく影響されることを明らかにした。即ち、top2遺伝子の多コピー導入によってミニ染色体が安定化するが、温度感受性のtop2変異をもつ細胞内では逆に著しく不安定化することが分かった。dg-dh配列による安定化活性はtop2温度感受性変異による不安定化を打ち消した。これはdg-dh配列とtop2遺伝子の間に遺伝的相互作用があることを示す。dg-dh配列の安定化活性をサブクローニング法によって解析したところ、活性はdh配列の1kbの範囲内に局在することが明らかになった。CM3354を安定化させる突然変異として同定したsta遺伝子のうち、cdc2温度感受性変異のサプレッサー活性をもつsta2およびsta3は、これまでに遺伝学的にcdc2のサップレッサーとして同定されていたsuc1およびcdc13のいずれとも異なる遺伝子であることが分かった。したがってこれらの遺伝子はcdc2と相互作用する新しいクラスの遺伝子と考えられる。また、sta3突然変異体においては、CM3354が存在しても、有糸分裂の遅延が部分的に消失することも明らかになった。sta3遺伝子は不安定な染色体の存在をモニターする細胞因子の一つであることが強く示唆された。さらにsta1変異と相補するDNAの解析から、この遺伝子は紡錘体極体の成分である可能性が示唆された。
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