1993 Fiscal Year Annual Research Report
細胞情報伝達系における新しいカルシウム流入経路に関する研究
Project/Area Number |
05680619
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
竹村 晴夫 札幌医科大学, 医学部, 講師 (20106462)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八田 慎一 札幌医科大学, 医学部, 講師 (60094223)
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Keywords | 細胞情報伝達系 / カルシウムイオン / カルシウム流入 |
Research Abstract |
細胞内Ca^<2+>貯蔵部位と関連するCa^<2+>流入(「容量性Ca^<2+>流入」)について、細胞浮遊液を用い、Ca^<2+>を動員する薬物によるCa^<2+>動態を検討した。興奮性細胞としてrat pituit-ary cell line GH_3及びmouse neuroblastomaとrat gliomaのhybridであるNG108-15を用い、また、非興奮性細胞としてヒトのT-cell lymphomaであるJurkat、rat gliomaであるC6及びラット耳下腺を用いた。いずれの細胞でも、イノシトール三リン酸(IP_3)を生成することなく小胞体からのCa^<2+>を遊離するthapsigarginはCa^<2+>流入を引き起こした。従って、種々の細胞で「容量性Ca^<2+>流入」が存在することが確かめられた。用いた細胞でIP_3を上昇させるそれぞれの薬物は、細胞内貯蔵部位からCa^<2+>を遊離するばかりか細胞外液からCa^<2+>を流入させた。このIP_3に感受する細胞内Ca^<2+>貯蔵部位はthapsigarginに感受する貯蔵部位と一致したので、IP_3を生成する薬物受容体によるCa^<2+>流入も「容量性Ca^<2+>流入」によるものと考えられた。しかし、Jukrat細胞ではフォスファチジン酸及びリゾフォスファチジン酸で細胞外液にCa^<2+>が存在するにもかかわらず、細胞内Ca^<2+>濃度の持続的な上昇は認められなかったので、「容量性Ca^<2+>流入」を引き起こさない細胞内Ca^<2+>貯蔵部位も存在することが示唆され、今後、詳細な研究を行う予定である。「容量性Ca^<2+>流入」の活性化機構解明のため、まず、細胞骨格が関与するかどうかを検討した。耳下腺細胞及びC6を用い、細胞骨格阻害薬のサイトカラシンやコルヒチンを処置してCa^<2+>動員薬物によるCa^<2+>流入を検討したが、いずれの処置によっても変化が認められなかったので、細胞骨格は関与しない可能性が考えらた。他の活性化機構についてはパッチクランプ法により検討中である。
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