1993 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物の光形態形成現象の作用機構に関する分子発生生物学的研究
Project/Area Number |
05680631
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山本 興太朗 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (80142008)
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Keywords | 光形態形成 / フィトクロム / 突然変異体 / アラビドプシス |
Research Abstract |
1.フィトクロムの高照射エネルギー反応(HIR)を示さない突然変異体の単離:同突然変異体を10個以上単離した。遺伝学的解析によって、これらの変異体は二つの遺伝子座の突然変異に由来することが分かった。その内の一つ、hy8はフィトクロムAの構造遺伝子で、報告者以外の三つの研究グループによって1993年にその存在が報告された。他方の遺伝子座FLU1はフィトクロムの構造遺伝子ではなく、多分、光シグナル伝達機構を構成する成分をコードしている遺伝子であると想像される。flu1はT-DNAタッギングによって作出されたものであるが、マーカーの薬剤耐性遺伝子も、T-DNAの右側繰り返し配列も持っていなかった。hy8、flu1、hy3(フィトクロムB欠損突然変異体)、野性型について、種々の光生理反応を測定、比較し、フィトクロム依存生理反応におけるそれぞれの遺伝子の役割を考察した。 2.T-DNAタッギングによる突然変異体の作出:約50個の独立した突然変異体を製作した。これらの変異体の表現型はまだ観察中であるが、少なくとも一個の形態形成に関する変異体が含まれていることが分かった。 3.近赤外光に対する高感受性突然変異体の単離:第1項で明らかにできた遺伝子座が少なかったので、フィトクロムが光受容体となる光生理現象に関する突然変異体を別のスクリーニング法で更に単離することを試みた。すなわち、より微弱な近赤外光にHIR反応を示す候補の個体を約20個分離した。これらの変異体の表現型は現在解析中であるが、少なくともその中の一つは、目的とする突然変異体であると思われる。ただし、同変異体は赤色光にも高感受性なので、フィトクロムB系信号伝達機構に関する変異体である可能性がある。他の候補の変異体は、copやdet突然変異体である可能性もあり、これら変異体との相補性検定を進めている。
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