1993 Fiscal Year Annual Research Report
発生初期におけるカテプシンEの遺伝子発現調節と生理活性ペプチドの分解機構
Project/Area Number |
05680638
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
景山 節 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (20027501)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅岡 一雄 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (10089138)
米沢 敏 愛知県コロニー, 発達障害研究所, 室長 (90001867)
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Keywords | カテプソンE / プロカテプシンE / サブスタンスP / FGF / タキキニン / 発生初期 |
Research Abstract |
カテプシンEはペプシンに近縁な酵素で、アスパラギン酸プロテアーゼに属している。胃に多く分布する例が多いが、動物間で組織分布が一定せず、その生理的役割は不明であった。近年申請者らの研究により、カテプシンEが哺乳類の発生初期の組織に多量に分布し、生後急速に消失していくことが明らかになった。また、カテプシンEが弱酸性域で一群の生理活性ペプチド、即ちサブスタンスPなどのタキキニン類、またFGF活性フラグメントなどの強い分解作用を持ち、この活性はリソゾームのカテプシンDの500-1000倍に及ぶことが明らかになった。これらの生理活性ペプチドは細胞膜の受容体を通じて細胞内情報伝達系を動かし、発生初期には組織の成長・分化に関与していることが知られる。カテプシンEはこれらのペプチドを選択的に分解しその伝達過程を制御することにより、高等動物の初期発生に極めて重要な役割を担っていると考えられる。 平成5年度の研究はおおむね順調に経過した。発生過程でカテプシンEが肝臓を含む各臓器に普遍的に分布し、subustance P、FGFフラグメントなどの生理活性物質を特異的かつ迅速に分解することが明らかになった。これらの成果はカテプシンEが初期発生の制御に関係することを強く示しており、同酵素の生理機能に新たな観点を加えるものである。これらの成果は動物学会、生化学会、アスパラギン酸プロテアーゼ国際会議で発表した。その一部は既に論文として発表した。また国内、国際学会での成果の発表も反響があり、5年度の成果の主要部分はMethods in Enzymologyに執筆を依頼されている。
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